Z1000A1 O.M様 電装系取外しとエンジンカム周りなどの点検

 入手したての新規登録車のエンジン不調修理と全体点検のご依頼です。

 

3000rpm以上吹けないとのことでCRキャブに交換したそうですが改善していないとのこと、試乗してみると、キャブのエアスクリュー調整でアイドリングは安定しますが、発進すると失火が酷くて走行は困難な状態です。

 

車両はZ1000-A1ですが、エンジン番号はZ1E、シリアルナンバーからZ900-A4辺りのエンジンに換装されているようです。そういえばヘッドカバーもZ1用で、Z1000なら半月状の膨らみがあるはずです。

 

シリンダーの鋳出し文字は1.015で排気量は1000ccのもよう。エンジンは一通り分解整備されているようです。

 

信頼性向上とエンジン不調対策のため、電装系はほぼ全て新品交換するので外します。

 

インテークポートを見ると研磨されていますね。

 

メインハーネスを含め、交換できる全ての電装品を外します。点火系はウオタニSP2にする予定です。

  

ヒューズBOXを見ると、メインヒューズの端子が熱で焦げています。新しくブレードヒューズにするので、こういった症状は起き難くなるでしょう。

 

スプロケ周りも点検します。フロントのロックワッシャーはかなり使い込んだものですね。スプロケにワッシャーの引っかかりが無いので、事実上このロックワッシャーは機能していません。スプロケはZ用に交換します。

 

納車後にトラブルがあったそうで、既にジェネレーター周りは新品交換済みとのこと。念のため分解点検します。

 

クランクのテーパーはやや傷があるものの、激しい走りをしなければ大丈夫なレベルでしょう。

 

スタータークラッチ周りも分解点検します。こちらは未交換のようですが、程度は比較的いいのでまだしばらくは使えそうです。

  

スターターモーターのところからオイル漏れしているので外します。Oリングがつぶれているので交換すれば直るでしょう。

 

メーター周りも分解点検します。インジケーターハーネスは既に社外品に交換されていました。

 

ヘッドカバーを外してカム周りを点検します。カムはノーマルでした。当たりもきれいです。

 

カムチェーンローラーのダンパーラバー類はまだきれいなので、オーバーホール後の走行距離は少ないようです。

 

シリンダー下のローラーもこの通りきれいです。

 

バルブタイミングは規定値です。

 

カムホルダーの締め付けトルクも全て正常です。

 

バルブクリアランスを計測・調整します。7ヵ所は規定値内で、調整したのは1ヵ所でした。

 

フロントスプロケは左側のZ用の物に交換します。スプロケには、スプラインの近くに純正ロックワッシャーの周り止め突起が入る小さな穴が開いています。

 

スプロケを規定トルクで締め付け、ロックワッシャーを確実に折り曲げておきます。