Z750FX1 E.M様 エンジン腰上組み立て

 

エンジン組み立ての続きです。クランクケース上部のブローバイカバー内部の部品を取り付けます。反対方向に向いた2対の黒いゴムのダクトからブローバイガスが出る構造で、オイルミスト交じりのガスをこの円筒形のカバー内で回転させ、ガス中のオイルミストを遠心分離する仕組みになっています。気液分離後のオイルは、カバー内面から下に流れ、クランクケースへと戻っていきます。当時のカワサキ技術者のこだわりが感じられる部分です。車のレース車両では同様の装置が見られたりしますが、この後の生産車ではほとんど採用されていないと思います。

 

ブローバイカバーを取り付けます。他車流用だったフィラーキャップも純正新品に交換しました。部品番号は 16115-1062 です。今でも買えるので傷んでいる場合は新品交換をお勧めします。因みにJ系エンジンにも適合します。

 

ドライブチェーンで削れていたミッションカバーは、ヤフオクで見つけたキズの無い物(右側)に交換します。

 

スターターモーターのケーブルは、あちこち補修の痕があるので交換します。

 

ケーブルと、端子、カバーを新品交換します。マグネットスイッチを移設するので、ケーブルの反対側は後で長さを決めて作ります。

 

ミッションカバーとスターターモーターを取り付けます。

 

既存のピストンはヨシムラ製860cc仕様、ボアはφ69ミリです。取り付け後走行距離も短いとのことで、ピストンリングの摩耗も少な目。カーボンを落として継続使用します。

 

カーボンを落とし後はこちら。

 

シリンダーはフィン欠けが3ヶ所有ったので塗装と同時に修理しました。

 

塗装後のシリンダーはこちら。内面には少しスカッフがあるので修正します。

 

1000番程度の耐水ペーパーでぼかす様に均しておきます。

 

M6の雌ネジは分解時に片側のトルク抜けを確認済みでした。

 

トルク抜けしていた方はヘリサートを入れておきます。

  

シリンダー前側にカムチェーンガイドを取り付けます。

 

ピストンをエンジンにセットします。

 

カムチェーンローラーとベースガスケットをセットします。

 

シリンダー内面にオイルを塗布します。

 

シリンダーを挿入し、カムチェーンアイドラとテンショナーローラー、センターOリング、左右のダウエルピンをセットします。

 

ヘッドガスケットをセットします。

 

続いてヘッドをアッセンブリーします。

 

カーボンを落として洗浄したバルブを組み付けます。ヘッドは過去にガイド交換などメンテされていました。今回交換するのはエキゾーストスタッドとバルブシールのみで、あとは継続使用します。

 

この3角の模様は錆びで窪んだ痕です。過去に面研もされていますが、取り切れなかったものです。

 

ここはガスケットのシール部分ではないので、圧縮漏れなどには影響ありません。このまま組み付けます。

 

既存のカムメタルです。キズなどが多いので全数新品交換します。

  

カムチェーンガイドローラーの片方は、内側カラーとダンパーラバーの剥離があったので、念のため2個とも新品交換します。テンショナーローラーは状態がいいので継続使用します。

 

ヘッドを取り付けます。

 

オイルクーラの取出しです。既存の物をウエットブラストしてレストアしました。Oリングが入るスペースが加工されていなかったので、口元を大きく面取りしてOリングが収まるようにします。

 

カムを取り付けます。エンジン完成までもうすぐです。

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