Z1000Mk2 I.H様 エンジンオーバーホールで分解 1105ccでした

 

入手当初からお越しいただいていましたが、いままで前後足回りの変更を中心に進め、今回は1年半ほどお待たせしていたエンジンオーバーホールを開始します。当初からのチェックでエンジン本体は調子がいいものの、クラッチミート時の振動や異音が少し感じられていたのでハウジングに何か異常があると思われます。

  

キャブとマフラーを外します。

 

エンジンはオーバーホールと同時に再塗装します。現状は上から塗り重ねられているところもありますが、比較的きれいな状態ですね。

 

塗装は純正と同じ色で仕上げます。アルミ地のところはポリッシュします。

 

ヘッドカバーを外します。

 

ヘッドカバー裏側には、カムチェーンが接触したような傷があります。現状はカムチェーンの弛みも無いので、過去に何かあったようです。

 

カム周りは特にエキゾースト側中心にかなり焼けた感じですね。カムは社外品のようです。

 

バルブクリアランスを計測します。広いところ、狭いところ、いろいろあり。

 

カムホルダーの締め付けトルクを確認します。数ヵ所はトルクがかからないので、ここは全数ヘリサート加工が必要のようです。

 

ついでにヘッドのM6ボルトもトルクチェック。こちらは大丈夫でした。

 

カムチェーンテンショナーを外します。こちらは純正ですね。クランクの正逆転でバックラッシュが無かったので、このテンショナーは継続使用可能でしょう。

 

トップアイドラーを外します。Mk2純正と違う形状ですね。Z1系の形状です。ローラーはダンパー部分と剥離してガタが出ています。こちらはもともと交換予定です。

 

カムはよくある社外メーカーのブランク素材を使っているようですが、メーカー名などの印は無いようです。リフトは9.8ミリとステージ1クラス。ベースサークルが小さいので、ヘッドカバー裏側の十字の出っ張りには当たらなかったのでしょう。

 

リフトはあるけど作用角は少な目なカムです。

 

リフターもインナーシムタイプになっていました。カム山の逃げも削られています。

 

ヘッドを外します。

  

燃焼室側は特に破損は無いようです。カーボンの堆積は通常レベルです。

 

ヘッドガスケットは左右一体型でした。ワイセコなどでよく見るタイプです。

 

ヘッド下面の面研も特にないようです。

 

ボアは73ミリで1105ccでした。少しパワー感があったのもうなずけます。

 

中間のカムチェーンローラーも、ダンパー部分が剥離していました。

 

テンショナーのゴムローラーは痛み少な目です。

 

スプロケットのダンパー部分、こちらも剥離していました。

 

ピストンはこんな感じ。

 

結構高圧縮なピストンですね。

 

シリンダーはノーマルスリーブをボーリングして使用しているようで、残厚は2ミリ以下とかなり薄目。今回はスリーブ交換して排気量は再設定となりそうです。

 

エンジンオイルを抜きます。

 

オイルクーラーホースを外します。

 

クーラーホースのフィッティング、こちらにはクラックがありましたので、ホース関係は更新した方がいいでしょう。

 

フロントスプロケを外します。アウトプットシャフトのスプラインの摩耗が進んでいたのはチェック済み。今回新品のアウトプットシャフトに交換する予定です。

 

ジェネレーター配線のギボシはかなり焼けて外せません。切断して新しいギボシに交換します。

 

腰上を外してエンジンが軽くなったところで下ろします。

 

エンジン下ろしと腰上分解が大方終わりました。

 

フレームの方を点検します。

 

過去にリペイントもされているようですが、錆びやクラックなども無く状態はいいようです。

 

車体の方はこの後レイダウンなどする予定です。