GPZ1100 K.K様 エンジン分解点検

  

今回はエンジンオーバーホールと点火系不調修理などのご依頼です。

  

エンジンは修理履歴が不明なので、今回開けて確認しておきたいとのこと。特にパワーアップなどは必要ないので、必要最低限で行う予定です。

 

マフラーを外してエンジンオイルを抜きます。

 

ジャッキアップしてみるとリヤサス周りにガタを発見。

 

ガタの出所はユニトラックのカンチレバーのベアリングのようです。モノサスのリンクは高負荷が掛かるので、定期的なメンテナンスが必要です。分解点検をお勧めします。

 

キャブを外します。

 

正逆方向にクランキングするとカムチェーンのたるみを感じます。カムチェーンテンショナーが戻り易くなっているようで、交換が必要かもしれません。

 

バルブタイミングを確認します。問題ありません。カムチェーンは少し伸びが見られます。

 

バルブクリアランスを確認します。こちらもだいぶ狭くなっています。

 

カムホルダーネジのトルクを確認します。1ヶ所はトルクが掛かりませんでした。ヘリサート加工が必要なようです。

 

カムを外します。

 

ヘッドを外します。ヘッドガスケットもノーマルのメタルです。ボアもノーマルのΦ72.5ミリです。

 

燃焼室を見てみましょう。

 

カーボンの堆積が多めですが、特に破損などは無いようです。

 

シリンダーを外します。

 

シリンダー内壁はスカッフなどもほとんど無くきれいです。

 

ピストンをは外します。ここまでノーマルのガスケットで正しく組まれていたので、分解歴は無いようです。

 

ピストンはノーマルです。強い当たりもわずかで比較的きれいです。

 

ピストンリングを観察します。

 

セカンドリングをよく見ると、当たりが上下の半分ほどです。摩耗も少なめでいい状態です。

 

社外オイルクーラーの取り付けは、オイル取出しのボルトが短く、適正長さに要交換です。

 

スプロケカバーを外します。

 

スプロケットは摩耗がかなり進んでいます。今回は前後スプロケとチェーンも交換します。

 

ジェネレーターハーネスのギボシは熱で溶けて外れないので切断します。

 

バッテリーを外します。

 

バッテリーケースは長年の液入りバッテリー使用による腐食が進んでいます。

  

交換間もないバッテリーのようですが、既に液がレベルの半分ほどに減っています。腐食防止とメンテナンスフリー化を狙ってMFバッテリーへの交換をお勧めします。

 

エンジンマウントを外します。ボルトは錆びて固着していました。

 

エンジンを下ろします。

 

エンジン補器類とカバーを外していきます。

 

クランクのテーパーはきれいですね。

 

スタータークラッチから異音がするとのこと、ギヤの円筒部は圧痕が多数付いているのでそろそろ交換時期ですね。ワンウェイクラッチASSYで交換します。

 

エンジンマウントインシュレーターを外します。

 

ゴムが硬化して摩耗しているのでユルユルでした。

 

右側のエンジンカバーも外します。

 

エンジンを反転し、オイルパンを外します。オイルパンの底にはスラッジの堆積もほとんど無く非常にきれいです。

 

クランクケースロアーを外します。3軸が見えてきました。

 

ミッションはギヤ抜けするとのこと。各ドグやギヤはきれいなので、シフトドラムに原因があるかもしれません。

 

クランクを外して点検します。点検棒はスムーズに通ります。

 

各ベアリングもスムーズです。振れはやや大きめの0.15ミリほど。

 

アッパーケースのノックピン穴なども問題無いようです。ここまでで、分解した痕跡は見当たらないので、初めての全分解と言えそうです。

 

シフトドラムを外して点検します。酷い摩耗ではありませんが、三角部分の角がやや丸みを帯びています。ギヤ抜けの原因と考えられるので、ドラムは新品交換します。