Z1100R T.N様 ピストン修正加工

S1キャリパーサポートのアルマイトが完成しました。

 

裏側はこんな感じ。「R」の刻印はZ1000Rフォーク用という意味です。

 

車体に取り付け、S1キャリーパーも付けてみます。これでS1度がかなり上がりますね。

 

不具合が合って販売元に調査に出していたワイセコピストンが戻ってきました。

寸法的には現行のワイセコK1172(Z1100R用φ75ミリ 1:10.25仕様)で問題無いとの回答でした。

 

不具合というのは、組むとバルブとピストンが干渉します。

 

INT、EXHともに、バルブの傘とリセスの最外側が僅かにかすります。

 

INT側のリセスにマジックでマークしてあるのが最初に組付けた際に付いたキズです。EXHもわずかに干渉はしています。

 

販売元がワイセコ本社と協議した結果、バルブタイミングを計測してほしいとのこと。再度組み込んで計測します。

 

ヘッドはツインプラグ化してコンマ数ミリ最低面研してある程度です。バルブもノーマルです。

 

クランクを1番上死点に合わせます。

 

カムチェーンをマニュアル通りにセットします。

 

クランキングすると、正転ではインテークバルブが開き始めたところでピストンが当たり回せなくなります。逆転リセスの側面にバルブの傘が擦るだけなので回せます。EXH側は手ごたえではわかりません。

この状態でバルブタイミングを計測します。初めに上死点を割り出します。

 

続いてEXHのバルブタイミングを計測します。109.5°でした。

 

続いてINT側を計測します。108°でした。

 

ノーマルカムなので、マニュアルによるとロブセンターはINT、EXHともに110°であることがわかります。計測値はそれに極近い数値でバルブタイミングは問題ありません。

ということで、ワイセコ側もこれが仕様との主張なので対応を考えます。

再度ピストンを取り出します。

 

リセスの側壁にキズが付いているのがわかります。

 

リセスの角にはわずかにバルブのスタンプがあります。

 

反対側も。

 

このキズは、4気筒とも同様にあります。

 

ピストンを外します。

 

リセスの直径はバルブ径に対して十分なのですが、どうやら中心に寄っているようです。

 

比較用にヴォスナーのZ1100R用φ75ミリピストンと比較します。

 

こちらの方が、明らかにリセスが外側にあるのがわかります。

 

ちなみにノーマルピストンはこちら。ボアもノーマルのΦ72.5ミリなのでそれを加味して考えても、やはりリセスはかなり外側にあります。

 

ワイセコに対策を任せられないということで、リセスを外側に拡大することにしました。

ケガキ線のところまで1.5ミリ拡大します。こちらはINT。

 

EXH側も同様に拡大します。

 

拡大はリューターで慎重に行います。

 

1ヶ所目ができました。

 

反対側も同様に。

 

左が修正前、右が修正後です。

 

4気筒とも全て修正します。

 

因みに裏側はこんな感じで、ピストンの肉は十分あります。

 

バリ取り、洗浄後、再度組付けます。

 

シリンダーを挿入します。これでこのエンジンとして4回目の作業となりました。

 

新型のワイセコ製メタルヘッドガスケットをセットします。

 

ヘッドを載せ、カムを組み付けます。バルタイはノーマルです。

 

ようやくスムーズにクランキングするようになりました。

 

スパークプラグはこちら。小さい方は追加のツインプラグ用です。

 

プラグの締め付けはトルクレンチで正確に。小さい方はトルク1.4kg・mです。

 

標準プラグの締め付けトルクは規定値の2.5kg・mです。

 

ヘッドカバーを付けて、ようやくエンジン本体が完成しました。