エンジン修復の続きです。交換用のクランクシャフトをストックの中から選びます。

手持ちで一番程度がいいのがこれでした。「ズレ 小 △」とありますね。

テーパー部はほぼ無傷です。

振れは約0.1ミリ。限度値ギリギリですが良しとしましょう。

点検棒で位相ズレをチェックします。4本目はスムーズには通りませんがなんとか差し込めるレベル。J系としてはいい方です。

見えるところだけベアリングをチェックします。目視でわかるような大きなダメージは無いようです。履歴は20年以上の長期保管品なので、走行距離はあまり進んでいない個体のはず。このクランクでいきましょう。

腰上を分解してクランクを取り出します。

ヘッドを外します。排気量はボアφ76ミリで1200ccです。

燃焼室は特に問題無いようす。コンロッドベアリングが傷んでガタが発生した場合、クランク上死点でピストンとヘッドが接触することもありますが、今回はそこまでの音はしなかったので実際にも当たってはいませんね。

ICBMのアルミメッキシリンダーも見てみます。

こちらは前回オイル漏れ修理の時に確認していた縦キズがあるだけで、今回新たに付いたキズはほとんど無いようです。メッキシリンダー、異物によるキズにも強いようです。

対してピストンはこんな感じ。ベアリングの摩耗粉を拾って4気筒共かなりキズが付いています。レンチでのクランキングが重かった原因はこれですね。幸いキズは浅いので、表面を滑らかに研磨すれば再使用できそうです。

クランクを取り出します。

今回破損したクランクがこちら。3番コンロッドが黒く焼けており、大端部は1ミリほどガタがあります。現状、回転させるとゴロツキますが回ります。

組み立ての前にケースを洗浄しようと傾けると、クランクのメインベアリングハウジングが大きく欠けていました。ボルトが掛かっていた先端で引きちぎられたようです。断面は全面ざらついているので、疲労破壊ではなく今回の一撃で割れたのでしょうか。破損したベアリングの場所からは離れたところなので不思議です。

1200cc用にケースボーリングまでしてあるので、簡単には代替のケースがありません。なんとか修理して使えないものかと考え、ボルトを長くしてみることに。ネジ穴の底の肉にまだ余裕があるのでボルト穴を下に延長します。15ミリほど掘ったところでオイル通路に貫通したのでそこでストップします。

タップでネジ切りします。

欠けた破片の方はネジ穴を拡大します。

洗浄したケースにクランクを載せ、破片をセットします。

ロアーケース側のボルト穴の高さを測ります。

一番長いケースボルトを素材に、4ミリほど短縮して長さを合わせます。

加工したボルトをねじ込み、締め代があるか確認します。

ケースを組み立てます。ボルトのトルクは問題無くかかるのでいけそうです。

オイルポンプはトロコイドタイプでした。大量に異物を巻き込んでいるので分解洗浄します。

分解するとこんな感じ。

トロコイドギヤ周辺は、異物の噛み込みで多数のキズがあります。

トロコイドギヤもキズ多数。もともとポンプの吐出量には余裕があるので、キズをペーパーで均して継続使用します。

エンジン腰下が組み上がりました。

まだ軽い状態で車載します。

エンジン腰下車載完了です。


