再生とφ74ミリ化に向けて、エンジンの機械加工が完了しました。

加工前のヘッドとシリンダーはこちら。ヘッドのデッキ面は腐食でかなりえぐれているところもありました。組付け時のヘッドガスケットはメタル製を使いたいので、面研して面を整える必要がありましたが、むやみに削って圧縮比が上がり過ぎるのも良くないので、削り代は最低限で行います。シリンダーはノーマルのφ70ミリから4ミリボアアップしてφ74ミリへ。当初はノーマルスリーブのままφ71ミリでいく予定でしたが、スリーブが緩くて抜けてしまったのでスリーブ交換となり、だったらボアアップとなりました。

シリンダーデッキ面も腐食が酷いので面研予定でしたが、スリーブ交換となると面研は必須になります。こちらの面研も圧縮比上昇をできるだけ抑えるために最小量で行います。

使用するピストンはピスタル製のφ74ミリ。スリーブはPAMS製の鋳鉄製ビッグボア用です。

機械加工後がこちら。ヘッドの面研は最小限とし、使用予定のメタルヘッドガスケットのシール部分に影響がないところは、腐食の痕がまだ残っている状態です。

ここが腐食でよくえぐれる部分です。シールには影響ないので残っていても大丈夫です。

使用予定と同じφ74ミリのメタルヘッドガスケットを載せてみます。ボアはここまで拡大されます。

シリンダーはこちら。PAMSのスリーブは外側が銅メッキされており、なじみと熱伝導がいいとのこと。口元のバリ取りもしてあり、ピストンリングの挿入がスムーズになっているので組みやすいスリーブです。

ピストンクリアランスは0.07ミリ狙いで加工。運転時はアルミの熱膨張が大きいのでクリアランスはもっと狭くなります。シリンダー内面はより平滑になるプラトーホーニング加工済み。慣らしが終わったのと同じくらい既に平滑になっています。でも慣らし運転は行います。初期のピストンリングとの摺動による摩耗粉の発生が少なくなるのも利点です。

MAXφ74ミリ用ビッグボア用スリーブなので、クランクケース側も少しだけボーリングが必要です。

ボーリング量はこのくらいです。もともと真円ではないので、部分的に削り跡が付いています。

シリンダーをケースにはめて精度を確認します。この後エンジンはセラコートでノーマル同様のブラック塗装します。アルミ地部分もポリッシュし、外観は新車のエンジンのようになる予定です。
