Z1000R2 Y.K様 ワークスS1仕様製作 摩耗したシフトドラムの交換 エンジン腰下車載

 

シフト周りの部品を点検します。ギヤのワッシャーが押されて大きく変形していたので、シフトに何か問題があったのだと思います。

 

シフトドラムのカムをよく観察します。2~5速までは山型のカム突起の頂上でフォーク位置を保つ構造です。そのためそのカム山頂上の平面部分の両肩が摩耗して狭くなるとギヤ抜けし易くなります。このシフトドラムの場合、既に2速・3速・4速のカム山の摩耗が進んでいる状態です。

 

2速のカム山はこちら。向かって右側の摩耗が特に多いですね。

 

3速はこちら。両肩ともまあまあ摩耗しています。

 

4速はこちら。左側が大きく摩耗しています。

 

ストックの中古品で使えるものが無いか見てみましょう。

 

9本点検したなかで、使用に耐えそうなのは右側の4本だけ。もう純正新品は生産終了したので、程度のいいものは貴重です。

 

今回はのこり少なくなった弊社の新品在庫で対応します。

 

新品のカム山はこんな感じ。山の両肩のエッジがきれいに出ています。ギヤ抜けの原因はいろいろありますが、ギヤのドグの摩耗に続いてシフトドラムの摩耗もその大きな原因となるので要注意です。シフトの際はクラッチを確実に切り、カム山の角を摩耗させないように丁寧にシフト操作してあげてください。

  
シフトフォークも点検します。こちらは大きな摩耗や変形はないので継続使用します。

 

シフト機構をロアーケースに組み込みます。

 

上から見るとこんな感じ。ケースドッキングの際にはギヤ位置はニュートラルにしておきます。

 

クランクケースを合体します。

 

お持ち込みの純正新品オイルポンプを取り付けます。

 

オイルパンを取り付けます。ドレンボルトとフィルターカバーボルトは何十回と脱着するものなので、是非適正なトルク管理をお勧めします。

 

新品のエンジンマウントインシュレーターをケースに圧入します。J系はゴムマウントなので、10年に一度くらいは新品交換したいパーツです。長年使うとゴムが硬化して痩せてきます。緩くなるとエンジン左側サイドがチェーンに引っ張られて後ろに寄り、リヤのエンジンマウントボルトが曲がり、更にケースのエンジンマウント部分がカラーと摩擦して大きく斜めに摩耗してきます。未交換の方はケースを痛める前に早めの交換をお勧めします。

 

圧入するとこんな感じ。このほかに端面にワッシャー形状のインシュレーターも4個付きます。

 

エンジンカバーを取り付けます。クラッチカバーはポリッシュ仕上げです。オイルレベルゲージも新品を取り付けます。

 

ゲージの取り付けは強く押し込むだけです。ブローバイガス系統の閉塞などによりエンジン内圧が上がった場合、この窓が吹き飛んでオイルが飛散することがあるので、ブローバイガス圧には要注意。

 

エンジン腰下がほぼ組み上がりました。

 

エンジンが軽いうちに車載します。

 

ブラケットはジュラルミン製に変更、ボルト類は純正新品に交換します。

 

ジャッキで支えてエンジンをフレーム内にセットします。

 

各マウントを規定トルクで締め付けます。エンジン腰下の車載完了です。