Z1000Mk2 I.S様 エンジン腰上分解

 

エンジン腰上オーバーホールのご依頼です。車両入手後約5年が経ち、過去の修復履歴も不明なので、信頼性向上のためオーバーホールしたいとのことです。

 

オドメーターの距離は3万キロ弱、左右メータのヤレ具合や車両全体の構成などから、オドは実走距離なのかもしれません。先ずはマフラーを外します。

 

集合管の底はかなり潰れています。キズも真新しいところもあるので、保管場所周辺で段差があるのでしょうか。この集合は車高が低いので要注意です。

 

外したサイレンサーはカラカラ音がするので覗いてみると、バッフル入口に半分開いた蓋が仕込んでありました。これが内部で脱落しています。

 

バッフルを抜いてみると、前側の前側のフランジがありません。これは要交換です。半穴の仕切版も、 排気の流れを乱す構造なので キャブセッティングにも悪影響が出そうなので外しましょう。

 

エンジンオイルを抜きます。

 

オイルを捨て、底に残った異物が無いか確認します。

 

特に問題は無さそうです。オレンジ色の破片はジェネレーターローターのマグネットをとめている接着剤の破片です。Mk2は経年でどんどん出てくるので仕方ありません。

 

外装を外します。

 

プラグコードは切り詰めたらしく、短くてパッツンパッツンです。

 

反対側も同様です。コイルの取り付けもガタガタでした。

 

コイルを外して点検します。

 

傷んだコードの先端をカットして短くなっているようですが、またもや先端は痛みがひどい状態です。1本は錆びて緑色になっています。

 

コイルもクラックが入っているので要交換です。

 

テール周りは、アース線の処理が見苦しいので点検して修正します。

 

テールカウルを外します。

 

ダンパーラバーは劣化して割れています。

 

この辺のゴム部品は純正新品が出るので新品交換しておきます。

 

これでぐらつきやテールカウルの割れも防止できるでしょう。

 

車検証のコピーがあったので、備考欄の記載を確認します。「保安基準適用年月日平成11年」とあるので、この車両は車検の際に平成11年の音量規制が適用されます。通常この時代の逆輸入車は音量計測はしないのですが、新規登録時に製造年を申請する際に、カワサキに依頼して発行された「製造証明」をもって製造年を登録するとこのような登録になってしまいます。今後、新規登録される方はご注意ください。

 

リヤサスはコニーですが、ダンパー調整のダイヤルが見当たりません。

 

案の定、裏側にありました。これでは調整しづらいので直しておきましょう。

 

反対側も裏返しでした。

 

オイルクーラーコアはタイラップで固定されています。本来はOリング止めのようなのでこれも修正しておきます。

 

ホースフィッティングのネジにはシールテープが巻かれています。ANコネクターはテーパー部分でシールするので、シールテープは不要です。

 

オイルクーラーコアのネジにもシールテープが。これもきれいに除去しておきます。オイルラインに入ってしまうとオイル通路を塞ぐ原因となることも。

 

キックペダルを外すと、ネジが傷んでいました。ここも高張力ボルトが必要なので交換しておきます。

 

チェンジペダルのネジも傷んでいます。ここも高張力ボルトが必須です。

 

引き回しで異音がするとのことで、スプロケカバーを外して点検します。

 

この状態では異音はせず、スプロケ周りも特に異常は無いようです。

 

タイヤにチェーンケースが干渉することがあったので外してみます。ま新しい擦れた痕があります。ノーマルタイヤで擦るはずはないので、スイングアーム側のガイドにきちんとはまっていなかったようです。

 

メインハーネスは新品交換済みとのことですが、ジェネレーター側のギボシが焼けているのでこちらは交換しましょう。

 

ヘッドカバーを外します。

 

カムホルダーネジは、エキゾースト側は半数以上で緩めですが、一応トルクはかかります。インテーク側は全てOKです。あとで要チェック。

 

バルブクリアランスを計測します。こちらは半数ほどが規定値より狭いです。

 

カムを外します。リフターやカムメタルの当たりはまあまあです。

 

ヘッドを外します。

 

燃焼室のカーボンは割と少なめですね。

 

ヘッドは外す際かなり張り付いており、ヘッドガスケットは純正です。

 

ガスケットを剥がしたデッキ面は、いづれもキズも無く分解の痕跡は見当たりません。

 

シリンダーはノーマルのΦ70ミリです。

 

ピストンも見てみましょう。

 

「KL250」の鋳出し文字があるので純正STDピストンです。

 

リングの当たりはベタ当たりしています。

 

カムチェーンローラーは意外なほどきれいですが、新しい物ではありません。

 

シリンダーとケースの張り付きもかなり強力でした。硬化したガスケットの状態からも、このエンジンの分解は初めてではないでしょうか。

 

腰上の状態はいいようなので、オドメータの距離はやはり実走かもしれませんね。腰下の分解は特に必要なさそうです。

 

固着したベースガスケットを丁寧に剥がします。

 

半分剥がしたところで1時間、あとはまた明日。