Z1000J1 F.T様 エンジン腰下分解点検

  

エンジン分解点検の続きです。腰下を分解点検します。

 

スターターモーターを外します。

  

取り付け部からまだオイル漏れはしていませんでしたが、このようにOリングは完全につぶれている状態。今回Oリングなどの消耗品は全て純正部品で新品交換します。

 

ジェネレーターカバーを外しますが、ボルトを全部緩めた状態でこれです。ボルトのかかりが浅いですね。これではケース側の雌ネジが持たずにせん断されてしまいます。ボルトは純正の長さを使うようにしましょう。長さは通常パーツリストに記載されているので、その値を参考に。稀に規定より長いボルトが入っていたりしますが、その場合雌ネジの口元が既に舐めていることもあるので、分解時はボルトの長さに注意します。雌ネジの異常を発見したら、ヘリサートなどを使用して適正に修正します。

 

外したボルトはこちら。ジェネレーターカバーのボルトはダウエルピンのある2本が40ミリと長く、その他の6本は同じ長さで30ミリです。

 

正しい長さはこのようにパーツリストで確認しましょう。基本的に、雌ネジがアルミの場合はネジ径の2倍以上ねじがかみ合うことができる長さが必須です。

 

ジェネレーターカバーを外します。ステーターコイルは焼け色は無くきれいです。

 

カバーの下部はキズがあります。あまり擦れていないので立ちごけ程度でしょうか。

   

内側から見てクラックが無いか確認します。いまのところ大丈夫のようです。

 

ミッションカバーを外します。部品構成は正しいようです。

 

ジェネレーターローターを外します。ボルトの締め付けトルクはかなり緩めでした。

 

クランクのテーパーを見ると、やや滑ったように表面の一部がただれています。ここは規定トルクで締めないと緩んでクランクテーパーを痛め、最悪はクランク交換に発展するので要注意。締め付けトルクは全ての部位に置いて、サービスマニュアル記載されている規定トルクを厳守すべきです。

 

スターターギヤを確認します。ワンウェイクラッチのローラーが噛む部分は、だいぶ圧痕があり凸凹が酷くなってきています。指で触ると凸凹しているのがわかります。

 

これが更に酷くなるとワンウェイクラッチが滑ってエンジン始動が困難になります。新品交換したいところですが、純正部品は既に販売終了しており、現状では海外を含め社外品の供給は無いようです。今後どこかでリプレイス品が販売されればいいのですが。

 

RHエンジンカバーを外します。

 

クラッチカバーを外します。内部は非常に奇麗ですね。

 

エンジンマウントダンパーを外します。ゴムが硬化して痩せているので、手でスルッと抜けました。

    

ダンパーが劣化して緩くなると、チェーン張力でエンジンの左側が後ろに引っ張られ、エンジンが少し斜めになってきます。スプロケットカバー後端とフレームガセットのクリアランスが狭くなっていたのはこのためです。ここは消耗品なので定期交換が必要な所です。

  

エンジンを反転します。

  

オイルパンを外します。スラッジは少な目で、特に異物は無いようです。

 

クランクケースを分離します。

 

ロアー側は大きな問題は無さそうです。

  

3軸を確認します。ギヤのドグの摩耗は少なく良好です。

 

ミッションギヤを取り出します。クラッチハウジングのダンパースプリングは、ガタも少なく良好です。

 

クランクを外して振れを計測します。振れ量は0.01ミリでかなりいい状態です。

  

点検棒をコンロッド小端部に通して位相にズレがあるか確認します。経験上J系エンジンは多くの場合若干位相ズレがあるものですが、このクランクは点検棒がスルっと通る良品です。因みに、多少の位相ズレがあったとしても、実際に高回転で特に振動が出るわけでもなく、実用上は特に問題はありません。現に私のレースマシンも位相は若干ズレたままですが、サーキット走行では普通に10000rpmまで回して長期間問題無く走らせています。

 

ロアーケースを点検します。

     

大きな転倒でクランクが横から押されると割れるところがあるの、ケースの分解時には必ず確認します。場所は左から1番目のメインべリングノックピン周りです。

  

クラックは無く、ピンの緩みもほとんど無いのでOKです。ここにクラックがあると修理は困難なので、現状ではケース交換に発展するので要注意。但し軽微なクラックの場合、おとなしく走るだけなら大丈夫だとは思います。

  

ミッションギヤを分解点検し、ベアリングを新品交換します。

 

インプットシャフト側を分解します。各ドグは摩耗も少なく良好です。

 

クラッチハブです。こちらの摩耗は極小なので、交換歴があるようです。

 

ハウジング側の摩耗も極小です。

  

クラッチ板も摩耗はほとんど無く真新しい感じです。エンジン全分解の痕跡がありましたが、一通り新品交換されていたようです。

 

アウトプットシャフト側を分解します。こちらもドグの摩耗は少なく良好です。

  

今回腰下分解の機会に合わせ、アウトプットシャフトは画像下側の後期型に変更します。

 

これによりフロントスプロケットの締結が前期のM10ボルトタイプからM20ナットタイプに変更できます。前期のボルトタイプは締め付けトルクが弱く緩み止めの機構も煩雑で、特にオフセットスプロケを使用する場合に不利です。その点後期のナットタイプなら十分なトルクで締め付けでき、緩み止めもワッシャを曲げるだけなので簡単確実です。ケース分解時は後期型シャフトへの交換をお勧めします。部品番号は 13128-1048 で、J系エンジン全車に対応します。現在メーカー在庫は「僅少」となっているので、近いうちに販売終了となるでしょう。エンジンオーバーホールの予定がある方は、是非今のうちに確保しておくことをお勧めします。ウチでも10本くらいストックしています。

  

後期型シャフトでギヤを組み立てます。

  

ケースに3軸をセットします。腰下はグッドコンデションでした。作業スペースの関係でこのあと先に腰下を組み上げて車載します。その後ヘッドの分解点検をしますが、同じようグッドコンディションでありますように。

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