今年の8月に1200ccエンジンが完成して以来、マイナーなトラブルをいくつか改修してきましたが、だいぶ距離も伸び季節も進んで冬になったところで、今回はクラッチとCRキャブスロー系の再調整を行います。

クラッチは、冷間時にはクラッチレバーを握っても完全に切れずに少し前に進んでしまうとのこと。現状はレバーの遊びもほぼない状態なので十分に切れストロークがあるようですが、粘度が15W-50のエンジンオイルを使っているので、その影響かもしれません。念のため、クラッチレリーズの遊び調整からやり直してみます。

クラッチの遊び調整の手順です。①レバーのアジャスターをネジ山が2~3山見える基本の状態にします。その際、マニュアルには書いてありませんが、アジャスターボルト側の切り欠きは真下に向けておくといいでしょう。こうしておくと雨水がケーブル内に入り難くなります。

②ケーブル中間のアジャスターを多めに緩め、レバーの遊びをかなり大きくしておきます。

③スプロケカバーのキャップを外し、内部にあるクラッチレリーズレバーとクラッチプッシュロッドとのクリアランスを規定値に調整します。因みに現車は遊びがゼロになっていました。クラッチ板が摩耗していくにしたがってここの遊びは狭くなるため、マニュアルでは走行距離に応じて定期調整が必要となっている個所です。Z1000-J1のクラッチレリーズはMk2タイプなので、調整方法はMk2に準じて行いますが、こちらの車両はR1のスプロケカバーなのでJ系マニュアルの通り、ネジは緩め方向に当たるまで回し、そこから1/4回転締め方向に回してロックします。これでネジピッチの1/4のクリアランスができたことになります。因みにZ1からJ1までの場合は回転方向がJ系とは逆で、クリアランスは1/2回転となっています。

④最後にケーブル中間アジャスターでレバーの遊びを2~3ミリに最終調整します。ここはお好みによりクラッチが繋がるレバーの位置を近くしたり遠くしたり調整できる部分ですが、クラッチの切れストロークを最大にした方が切れ不良を起こしにくいので、冷間時には遊びを最少にしておいた方がいいでしょう。エンジン暖気後はエンジン温が高くなるにつれ自然と遊びが増え、エンジンが冷えると元に戻ります。

続いてスロー系の再調整です。現状はエアスクリューの戻し量を1/2回転戻しまでエアを絞ってちょうどいい感じとのこと。戻し回転数が1回転を切ると、エアスクリューの微妙な戻し量にも燃調が反応するので少しデリケートになり過ぎます。通常、CRキャブの場合エアスクリューの戻し量は1回転戻しから2回転戻しの間で合わせておくのが基本で、エアスクリューを回した時の燃調の変化が緩やかになって調整し易くなります。そこでこの場合はスロージェットを大きくします。

キャブを外します。

このCRキャブはバイパスポート付きのため、スタンダードのCRキャブよりバイパスポートから出る燃料の分、スロージェットを小さくしておきます。通常ですと65~68番くらいを使いますが、こちらの場合は40番としていました。

エアスクリューの戻し量が小さいということは、スロージェットが小さ過ぎるということです。番手を少し上げて50番に変更します。

キャブを復元し、試運転に向かいます。冷間時のクラッチの切れは問題無いようです。

しばらく走って完全暖気したところでエアスクリューを調整します。今度は戻し量が1と1/4回転になりました。

暖気後のクラッチの切れはやや足りない感じだったので、レバー側のアジャスターで1回転遊びを減らしました。これで様子を見ていただきます。


