念のため、オイルパンを外して内部を点検します。

オイルフィルターを外すと、スプリングの上にあるはずのワッシャーが欠品しています。

ワッシャーが無いと、取付時にスプリングがフィルターのゴムを痛めたり食い込んで変形したりすることがあります。このスプリングも変形しています。

オイルパンを外します。

ストレーナーは異物が固形の硬い異物が多数付いています。

ミッション周りを点検します。
ギヤの欠けなどはありません。ドグも見える範囲は比較的きれいです。

シフトドラムの山も摩耗は少ないようなので、ギヤ抜けの心配は少なそうです。

車体を更に傾けて作業します。

オイルパンを外すのは、おそらく今回が初めてのようです。

30年以上経過したガスケットは、硬くこびりついています。

クランクケースにキズを付けないよう、少しずつ慎重に剥がしていきます。

ガスケット剥がしはクランクケース側だけでゆうに1時間以上かかります。
道具はこの3本のスクレッパーのみです。

仕上げにオイルストーンをかけてカスを取ります。

ガスケット剥がしの完成です。

エンジンと周囲の汚れを洗浄します。

砂がかなり堆積しているので、オイル漏れしながら相当な期間走っていたのでしょうか。

ブラシが届く範囲、簡単に洗浄しました。

前側はこんな感じ。

オイルパンを洗浄します。現状はこちら。

内部はかなりの量のスラッジが堆積しています。

スラッジの深さは全面に3ミリほど。

こちらのガスケット剥がしも単体でや作業し易いとは言え、30分コースです。

洗浄が終了しました。割れ、欠けなど特にありません。


オイルポンプなども洗浄終了です。

スプリングとワッシャーは新品を取り付けます。

その上にフィルターとカバーが付きます。
オイルパンを復元します。

続いて、エンジンマウントダンパーを交換する際、エンジンを持ち上げ易くするためスプロケットを外します。
ですが、この長さのレンチでも緩みません。
オイルシール類は整備済みとのことで、外さずにマウント交換することに。

駐車中もオイル漏れするので不審に思っていましたが、ミッションカバーのこのボルトは空回りしてしまっていません。ネジがおかしいのでしょうか。

ヘリサート加工が必要かと、やはりスプロケットを外すことに。
30キロ級のインパクトでも緩みません。

ナットを削って破壊して取ります。

ようやくインパクトで緩みました。

スプロケは520サイズです。表にもスペーサーが入っています。

スペーサーを外します。

520のスプロケットを外します。

スプロケの厚み補正のため、奥にもスペーサーを入れてあるそうですが、オイルシールに埋もれています。

スペーサーを外してみると、オイルシールは変形しているようです。
本来、オイルシールは面より3ミリほど奥に圧入するものです。

以前もナットを削って取ったようで、スプラインにはキズが多数付いています。
本来、この状態でシャフトは軽く回せるはずですが、手で回せないほどフリクションがあります。何か内部で破損しているのでしょうか。

ミッションカバーが外れました。

オイルシールのリップは中の方も切れていました。

リップ締め付け用のスプリングは脱落してスリーブに側にありました。
ミッションカバーを取るとシャフトはスムーズに回せるようになったので、フリクションの原因はこの脱落したスプリングが挟まっていたためでしょう。


その他、ポジショニングレバーなどは問題ありません。

古く、サビついたダウエルピンを外します。

づぶれないよう内径に合うドリルを差し込んでつまめば、ほぼ間違いなく外せます。

スプラインをよく見てみましょう。
スプロケットによる圧痕がかなりついています。
メーター距離の7万キロ超は伊達では無いようです。

今回、用意されているチェーンとスプロケは520です。

比較用に530のスプロケを用意しました。

歯の厚みも520の方がかなり薄いですが、全体の厚さにいたっては半分くらいです。

こちらの530は純正互換品なので、ツバを含めると630と同じ厚さになっており、スプラインの出代も純正と同じです。なるべく広い面積でシャフトと接します。

520のスプロケを付けてみます。
1000J互換品として案内されていますが、シャフトに掛かる面積はこれだけ短くなります。
シャフトに掛かる負担も大きく、更にスプラインのガタが増える方向です。
今後の耐久性を考えると、新品シャフトへの交換か、チェーンサイズは530にとどめておくことをお勧めします。

リヤの520スプロケは、大型車ではアルミスプロケットは耐久性に問題があり、こちらも520鉄製スプロケか、チェーンごと530への変更を強くお勧めします。

ミッションカバーのボルトが一部締まらない件は、ボルトの長さが短く不適切でした。

パーツリストに沿って純正の長さのボルトを用意します。

トレーの中が純正長さのボルトです。

こちらで締め付けると、規定トルクがしっかりかかりました。


