Z1000R1 T.T様 ワークスパフォーマンスのオーバーホール

 

装着していたワークスパフォーマンスのリヤショックですが、オイル漏れが始まったのでスクーデリアオクムラさんでオーバーホールしていただき、今回は約3週間で完成です。

Z1000R用ワークスパフォーマンスリヤショックのオーバーホール品

 

作業のレポートはこちら。ロッドに傷があり、研磨して対応したとのこと。これはよくある事例です。「ブラダ」とは、リザーバータンク内にある気液分離の隔壁で、樹脂でできているので古いものは破損していることが多く、今回も交換となりました。本来、高圧のガス圧で加圧され、ロッドの上下動によるキャビテーションを防止する設計になっていますが、ガス圧も抜けてゼロだったことがわかります。

 

こちらは分解時の様子です。リザーバータンク横の「指サック」みたいなものがブラダです。発売当時は最安で3~4万円で購入できたショックなので、構造的にはシンプルな物です。ちなみにエンドブッシュですが、ノーマルはナイロン製で耐久性が弱く破損していたため、既にゴムブッシュに交換してあります。

ワークスパフォーマンスリヤショック分解写真

 

こちらは交換して外した部品です。ブラダが割れているのがわかります。ブラダやリザーバーの蓋、その他の消耗品はワークスパフォーマンス純正品が無いので、代用品やワンオフ製作で対応するそうです。今回のオーバーホール費用は約6万円でした。

 

貸し出し用のリヤショックからワークスパフォーマンスに戻します。

 

これでまた数年は大丈夫でしょう。やはりこのデザインが一番似合いますね。

 

続いて充電系の不具合を点検します。先日ツーリング帰りにバッテリーが上がり、今日は充電してから来たとのこと。現状のバッテリー電圧は13V、エンジンを掛けると電圧が14V近くまで上がるので発電はしている模様。バッテリーも最近新品に交換したばかりです。

 

レギュレータからの配線とメインハーネスの接続部を見てみます。よくここの端子が腐食して発熱し、カプラーが溶けている個体がありますが、この車両はきれいな状態です。

 

外したカプラーでジェネレーターの発電出力を直接計測します。ジェネレーターの生の出力は3相交流なので、3本の黄色い線のうち2本ずつ、計3パターン計測します。マニュアルによると4000rpm時に交流50VあればOKです。計測の結果はどれも50ACV以上あり問題ないようです。電気部品は温度変化で回路や配線が短絡したり断線したりすることもあるので確定診断ではありませんが。

 

レギュレーターは新車時からのノーマルで、出力を計測するとやや不安定な所もあり、簡単に交換できるこちらを更新することに。

 

交換用にはPAMS製のMOSFET型レギュレーターを使います。

 

MOSFET型レギュレーターは少し大型なため、S1スイングアームのブリーザーコネクターと干渉するため、バッテリーケース下のノーマル位置には装着できません。そこで左サイドカバー内に設置します。

 

ジェネレーター出力はかなり安定するようになったので、しばらくこれで様子を見ていただきます。次にキャブセッティングの見直しです。スロットル開度1/4付近でバラ付くとのこと。

 

試乗して指摘どおりの不具合を確認しました。ジェットニードルのリセッティングで直る領域なので、道端でニードル交換します。

 

現状はY9のジェットニードルで、クリップ段は上から2番目です。

 

4気筒ともクリップ段を上から3段目に変更します。

 

作用中にほかの不具合を発見!プラグコードがイグニッションコイルから外れています。この車両はツインプラグなので、プラグが1本死んでいても普通に走れるとは思いますが、これも少なからず影響していたかもしれません。

 

端子は緑色に腐食しています。銅が錆びた緑青の色ですね。ダイナコイル純正の端子と思われますが、カスタム部品は長期の耐久性などに対応できていないことが多く、予期しないところで不具合が進行していることも多々あります。特にカスタム車は定期的な広範囲の分解点検が必要なことをご留意ください。

 

キャブのリセッティングで問題のバラ付きは無くなりました。少しあったアイドリングでの振動も無くなり、元通りの快調な走りを取り戻しました。