Z1000R2 X様 事故車の引上げ

  

午前中、事故車の引上げ依頼の連絡を受け、午後から新宿まで向かいました。幸い入院するほどの怪我は無く、人も巻き込まずに済んだそうです。フトントフェンダーがタイヤに食い込み、持参したバールでこじってようやく解除。トランポに積んでガレージに戻ります。

  

ガレージに戻り、外観をチェックします。衝突してから転倒したので滑走はしなかったとのこと。オイル漏れなどは無いようです。このまま分解点検しながら修理のお見積りを行います。

 

一番妙なのはこの曲がったリヤホイールです。後ろはぶつけていないし車にも踏まれていないとのこと。どうやらスイングアームが曲がったようです。

 

スタンドで直立させます。

 

真っ直ぐ立てるとリヤの異様さが際立ちます。

 

先ずはリヤ周りから点検します。

 

ホイールは多少の振れはありますが、大きな曲がりは無いようです。ブレーキディスクも大丈夫です。

 

スイングアームは左右で5センチほどねじれています。

 

外傷はないのですが、テールカウルを外してシートレールの曲がりを点検します。

 

左右に棒を渡して曲がりをチェックします。水平なので特に曲がりは無いようです。

 

リヤショックを外します。ロッドが曲がっていなければいいのですが。

 

外してみると特に曲がりは無いようです。長さも左右同じです。

 

ブッシュは変形が酷いので要交換です。

 

スイングアームを外します。

 

ピボットシャフトは異常無く、リヤアクスル側でねじれたもよう。

 

修正するより中古品と交換した方が早いので、手持ちのストックから同型のものを選び出します。

 

交換用のスイングアームはこのままでも使える状態なので、簡単にサビとキズを落として塗装します。

 

リヤショックは劣化したブッシュを外します。

 

新しくゴムブッシュを圧入します。

 

スイングアームの塗装が完成しました。素材はZ1100-B2用で、形はZ1000Rと同じです。

 

用意したスイングアームを取り付けます。

 

アライメントも正常になりました。ホイールもスムーズに回り、リヤブレーキも大丈夫です。

 

続いてフロント周りへ。割れたカウルを外します。

  

メーター周りはスペアがあるので丸ごと交換します。カウルステーとライトステーは大きく変形しましたが、スチール製なので修正はできそうです。

 

フロントホイールをチェックします。こちらも多少の振れはありますが許容範囲レベルです。

 

インナーチューブは目視で解るほど曲がっています。ステムまで曲がっていないといいのですが。

 

フォークを外します。

 

チェック用の真っ直ぐなインナーチューブを用意します。オイルクーラーは傾いていたのでよく見ると、上側のステーが曲がりクラックが入っていました。

 

真っ直ぐなインナーチューブを通してみるとスムーズに通るので、上下ステムに曲がりは無いようです。その代わりハンドルストッパーは大きく曲がっています。

 

修理用のドナーとなるフォークをストックの中から選びます。インナーチューブをそこから取り出す予定です。

 

フォークのドナーも決まり、何とか修理の目途が付きました。さて、修理の見積り額はどのくらいになるでしょうか。