エンジンを下ろした後のフレームを点検します。

汚れが酷いので、先ずはクリーンナップから。

フレームは、クラックなど無く特に問題無いようです。
リヤのインナーフェンダーは大きく割れています。

応急でアルミテープで補修しておきます。

エンジンの分解点検を進めます。

積み重ねてあったヘッドとシリンダーを外します。
腰下の分解開始です。

オイルプレッシャースイッチのネジ部分には、シールテープらしきものが付いています。オイルクーラーフィッティングのネジにも巻いていあるので、素人作業の証なので要注意。

オイル取出しのOリング面には液体ガスケットが塗ってあります。これも不要な作業のひとつ。

油温センサーのストレートネジにもシールテープが巻いてあります。

オイルラインにテープが入ると、思わぬトラブルの元になるので厳禁です。

ジェネレーターカバーにはクラックが。

ボルト穴の近くにはサンダーで擦ったような痕跡があります。以前に折れ込みボルトを取り出す処理でもしたのでしょうか。

カバーを外します。クラックは奥までは達していないようです。

ジェネレーターローターを外します。

テーパー面はきれいです。


ミッションカバーを外します。

シフトシャフトのセレーションは一部が潰れているので、交換しておきましょう。

スプロケカバーのボルトが1本だけスタッドになっていたところです。ボルトをバイスプライヤーで掴んで回します。

無事取れました。

エンジンを反転して、下から分解を続けます。

オイルパンは積年の汚れが分厚くこびりついています。
汚れの上から塗装した形跡も。

オイルパンを外します。内部はスラッジが大量に堆積しています。


ストレーナーにもゴミがかなり詰まっています。

クランクケースのM8ボルトは、1本が折れ残ってしまいました。

ジャッキポイントにボルトをねじ込んで、ケースを分離します。

4軸が見えてきました。

ミッションのドグなどはきれいです。乗り方は丁寧だったようです。

ケースボルトの折れ込み箇所はこちら。

ネジ部分が、長く全て折れ残っています。

クランクを点検します。ベアリングはスムーズです。振れを計測します。

振れは0.04ミリで規定値内です。

点検棒もスルッと入ります。芯ズレも無いようです。

アッパーケースを点検します。

ノックピン穴のクラックは無いようです。

ミッションベアリングのハウジングもきれいで、ガタつきも無いようです。

折れ込みボルトを摘出します。先ずはボルトのセンターにポンチを打ちます。

細いボルトでセンターに穴を開けます。中心からズレ始めたら、ドリルを斜めにして方向を修正します。

ほぼ中心に穴が開き始めました。

そのままドリルでボルトを貫通させます。

無事、真っすぐ貫通できました。ここまでが一番大事な作業で、いかに正確に中心に穴を開けるられるかで、仕上がりが大きく違ってきます。

細い穴をガイドにして、ドリル径を太くして穴を拡大していきます。

M8ネジの下穴径まで拡大しました。残ったボルトは、ネジ山の谷部分にらせん状に残っているはずです。

タップで元のネジ山を探りながら、残ったボルトのカスを切り取ります。

無事、折れ込みボルトが取れました。

ボルトを取り付け、トルクが掛かるか確認します。

規定トルクがしっかりかかるので大丈夫です。

ガスケットを剥がし、組み付けの準備をします。

前回の作業者は、ずいぶん深いキズを付けてしまっていて残念です。

古くて固着したガスケットをいかにきれいに剥がせるかが、レストアの最重要なスキルのひとつです。

クランクケースの洗浄が終わり、組み立て準備ができました。

ミッションを分解点検し、ベアリングを新品交換します。

アウトプットシャフトのギヤ類は特に問題ありません。

各ドグも比較的キレイです。

スプロケとか見合うスプラインはだいぶ摩耗しています。過去にトルク不足でスプロケが遊んでいたと思われます。替えはもちろん無く、ストリートユースなのでこのまま温存して使用します。

インプットシャフトも分解点検します。

クラッチは枚数の多い強化品が入っていました。ハブの摩耗が少ないので、組んでからはあまり走っていないようです。

クラッチ板の消耗も特に無いようです。

クラッチスプリングも強化品です。
走行して重すぎるようなら、φ72ミリのST1カム位の仕様なら、クラッチは純正でも構わないでしょう。


クラッチハウジングのダンパースプリングも、大きなヘタリは無いようです。

ベアリングを交換して復元します。

カムチェーンも交換し、4軸をケースにセットします。
新品のケースボルトを手配したので、組み立てはボルトの入荷を待って行います。


