Z1100B2 U.S様 ヘッドカバークラックからのオイル漏れ修理

  

先日組み上げて新規登録をしたこちらの車両、オーナーさんが500kmのエンジン慣らしを終えたころ、ヘッドカバー辺りからオイル漏れしてきたとのことで修理します。

 

一度脱脂してからもう一度走っていただいたのですが、はっきりとオイルの出所がわからなかったとのこと。オイルクーラー周りにオイルは付いておらず、どうやらヘッドカバーのカムチェーン部分左側前方が一番濡れているようです。この症状は過去にも数例あったので、出所の予想はたちました。

 

オイルが付いている中で一番先頭部分が出所と考えられます。ヘッドカバーの隅アールのところにわずかなスジが見えます。

 

クラックと確認するため、カラーチェックをしてみます。使用するのはタセトのカラーチェックセットです。セットは洗浄液・浸透液・現像液の3本構成です。

 

洗浄液で洗浄した後、浸透液を塗布します。浸透液は赤いインクのような性状で、クラックがあると毛細管現象でクラックに沁み込んでいきます。

 

10分くらい浸透させた後、再度洗浄液で洗浄します。

 

きれいに洗浄したら、最後に現像液を塗布します。

 

初めは半透明の白い液ですが、徐々に乾いて真っ白になります。

 

乾燥後、クラックがあれば赤い線が浮き上がってはっきり目視できるようになります。

 

赤い線は隅アールのところに3センチほど走っています。ここからオイルが漏れてきたわけです。この症状は過去にも数例みました。J系のヘッドカバーは2次空気導入システムの突起が無いヨーロッパー仕様だけで3種類ありますが、最後期のものはここに3角形の小さいリブが入っています。メーカーでも不具合対策していたようですが、リブ付きでもクラックが入った例を見ているので、効果は限定的なようです。

 

クラックの入ったヘッドカバーを外します。

 

開けたついでのにカムホルダーボルトのトルクを確認しておきます。

 

今回はオーナーさん自ら代わりのヘッドカバーを2個お持ちになりました。程度のいい方を使います。

  

クラックの無いヘッドカバーを取り付けます。ここのクラックは過去に再発することもあったので、スペアは大事に保管しておいてください。クラックが入った物も、最終的には溶接修理して使うこともあるかもしれません。

 

合わせてエンジン慣らしが終わったので、オイルとフィルターを交換します。

  

ヨーロッパ仕様の2段階サイドスタンドのため、S1ステップのチェンジペダルがシフトダウン時に干渉するので下げられないとのこと、干渉部分のブラケットを削って逃げを作ります。

 

以前よりは下がるようになりましたが、将来的にはサイドスタンドを北米仕様や弊社の脱着式に変更する予定です。

 

S1ステップのもう一つの弱点、リヤブレーキの効きが悪い問題。ペダルのレバー比は大きくなる方にマスターのプッシュロッドはアジャスト取付穴をペダル軸側に変更します。

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