Z1000J1 T.A様 エンジン腰上分解

 

エンジンの腰上を分解します。先ずはキャブを外します。

  

キャブは簡単に抜けたのでよく見ると、アダプターとインシュレーターが適合していません。溝の位置と形状が異なる組み合わせを使っています。これだとバンドをいくら締めてもキャブが脱落することがあります。

 

このアダプターに適合するインシュレーターはこちらの1131型です。

 

パワー感が乏しいのでメインジェットも確認します。

チェック走行では、スロットル全開時より15/16くらいが最もパワーが出る状態でした。

 

フロートチャンバーの底には緑色の水が少量溜まっています。タンク内にも溜まっている可能性がありますね。

 

プラグキャップの内部を確認すると、ターミナルはかなり腐食しています。

 

このタイプのターミナルは、通常、スチールにメッキなので経年で錆びてきます。コード一体式なのでコードごと定期交換をお勧めします。

 

暫定で接点復活スプレーしておきます。

 

ヘッドカバーのボルトは端の4本は長いのですが、全数同じ長さが使われていました。ヘッドのネジ山を痛めるのでボルトは必ず純正の長さで。

 

ヘッドカバーを外します。

 

バルブタイミングを確認するので、1番圧縮上死点に合わせます。

 

カムスプロケの位置を確認します。インテーク、エキゾーストともに1コマズレています。

 

エキゾーストはこの状態。1コマ遅れ。

 

インテークはこの状態。こちらも1コマ遅れです。パワー感の無さはこの辺が原因のひとつでしょう。カムはノーマルです。

 

バルブクリアランスを確認します。半数がやや狭い状態です。

 

カムホルダーのトルクを確認します。

 

1ヶ所はトルクが掛かりませんでした。

 

カムチェーンテンショナーはマニュアル式が付いています。調整には一定のスキルが必要なので、一般ユースなら間違いなく調整いらずのオートタイプがお勧めです。

 

テンショナーを外します。

 

カムを外します。

 

ヘッドのトルクを確認します。4角のメッキナットはかなりトルク不足でした。

 

ヘッドを外します。

 

ヘッドガスケットは上下逆さまです。ピストンは純正のようですね。

 

ヘッドナットのワッシャーは、4角がカッパータイプなのにばらばらに使われています。

 

燃焼室はカーボン多めですが大きなダメージは無さそうです。

 

シリンダーを外します

 

シリンダーには長期保管で付いた、ピストンリングと固着したサビのリングがある気筒も。

 

カムチェーンガイドは劣化してクラックだらけです。

 

スタッド周辺のゴミを掃除機で吸い取ります。

 

ピストンを外します。

 

コンロッドはベアリングもスムーズで特に問題無さそうです。

 

オイルフィッティングには大量のシールテープが巻かれています。漏れを強引に止めているのでしょうか。

 

 

ピストンを確認します。

 

ボアφ69.9ミリで純正の0.5ミリオーバーサイズです。ピストンリングはベタ当たりなので要交換。

 

ドレンプラグはなめて角がかなり丸くなっています。

 

なめかけているボルトは6ポイントのソケットで回します。ボルトは要交換。

 

滑っていたクラッチを点検します。スチールプレートはかなり錆びています。フリクションプレートの摩耗も多めです。プレートは全交換します。

 

クラッチハブとハウジングは、段付き摩耗がかなりあります。

 

こちらもセットで要交換ですね。

 

バッテリーは10Ahなので小さ過ぎです。14Ah以上は欲しいところです。