Z1000J1 A.T様 カムホルダーネジのヘリサート抜け 修理は困難で高コストに

   

カムプラグのところのヘッド側雌ネジは、欠けたところも含め4ヶ所全てにヘリサートを入れて一応修復できました。但し、欠けたところは規定トルクまでは掛けられませんが。それ以外にもカムホルダーネジのトルクも確認します。

 

インテーク側8ヶ所は大丈夫でしたが、エキゾースト側は半回転ほど増し締めできてしまいます。これは雌ネジが傷んできているサインです。赤くマークしたところ1ヵ所はトルクがかからないので要修理です。

 

ひとまず長いボルトに換えてトルクがかかるか試しましたが全くダメでした。

 

カムホルダーのボルトはノーマルで約42ミリですが、ヘッド側の雌ネジはもう少し深くまであるので、底付きしないギリギリの50ミリのボルトで試しましたがトルクは掛かりませんでした。緩めるときに抵抗が大きかったので、既にヘリサートが入れてあるようです。

 

カムを外すのでテンショナーを先に外します。かなりロッドの突き出し量が大きいですね。

 

根元のOリングは完全につぶれています。この辺りのオイル滲みはここからかもしれません。

 

マニュアルテンショナーは定期的な調整が必要なので、特に目的が無いならノーマルのオートテンショナーの方がメンテナンスフリーで便利です。今回オートに交換しようと思い新品を準備しましたが、ロッドの長さをくらべるとノーマルでは足りないので使えません。カムチェーンの伸びが多く、ガイドの摩耗が進み、ロッドで押しているガイド裏側の潰れも大きいのが原因だと思われます。

 

カムを外します。

 

カムはノーマルです。摩耗やカジリなど特に問題は無いようです。

 

カムメタルはだいぶ痛んでいます。カムホルダー側は全面当たりです。

 

ヘッド側のメタルはブツブツになっています。

 

カムチェーントンネル内はこんな感じ。カムチェーンの背面は画像では分かりづらいですがテカテカ光るほど摩耗しています。

 

ひとまず1ヵ所だけ修理してみます。マスキングテープで全体を養生します。

 

エキゾースト側のネジ穴を開口します。中を確認すると8ヶ所中7カ所にヘリサートが入っています。ヘリサートが入っているのに半回転以上増し締めできる場合は、そのヘリサートは上がってきているでしょう。トルクがかからなくなるのも時間の問題です。

 

トルクがかからないところのヘリサートを抜き取ります。1D長さの短いヘリサートでした。

 

今より深いところに新しい2D長さのヘリサートを設置してみます。ネジ穴の底までヘリサートタップを立てます。はたしてこれでトルクは復活できるでしょうか。車載で修理するのもスペース的に効率が悪いので、場合によってはヘッドを外しての修理、更にヘッド交換も想定しなければいけないでしょう。