Z1000Mk2 I.H様 ヘッドの準備 カムホルダーネジのヘリサート加工

 

分解時の点検で、カムホルダーネジのトルク抜けが数か所あることがわかっています。既に4ヶ所にはヘリサートが入っていましたが、それでも一部はネジ山が上がってきていました。

 

ヘリサートが入っていてもトルクが抜けている部分のヘリサートを取り出します。

 

入っていたのは一般的な長さが1.5Dのコイルでした。「1.5D」とはヘリサートの長さが呼び径の1.5倍ということで、M6の場合は約9ミリです。1.5Dではネジ強度が足りないようで、ヘリサートが入っているのにネジが上がってきてしまったものは、ほとんど1.5Dで処理されていました。そこで弊社では基本的「2D」という少し長いヘリサートを使います。

 

今回は念のため全16ヶ所全てに2Dのヘリサートを入れます。先ずは下穴を開けます。

 

ヘリサートタップでネジ切します。

 

2Dのヘリサートを挿入します。カムホルダーネジの場合、かなり奥からネジ山が始まるので、押し込み用のカラーを使ってヘリサートを挿入します。セットするのは一番先にある1個だけです。

 

カラーを押してヘリサートのみを押し付けながらハンドルを回します。この際ハンドルは押し込まずに回転させ、コイルをねじ込みます。

 

所定の深さまでコイルをねじ込んだら、先端のトングを折り取ります。

 

折ったトングを磁石でくっつけて拾い上げます。

 

トルクがかかるかチェックします。これを全ヵ所行います。ヘリサートをやり直すか所は、初めより深い位置にコイルをセットすることもあり、その場合はボルトも長い物に置き換えます。下穴の深さは少し余裕があるので、ボルトは多少延長可能です。

 

ガイドのガタも少なくバルブの状態は比較的良いので、バルブシートの擦り合わせをしてバルブは継続使用します。

  

フェースにバルブコンパウンドを塗り、タコ棒を使って擦り合わせします。

 

擦り合わせが済んだらバルブを組み付けます。

 

バルブスプリングは不等ピッチの物が入っていましたが、分解時に確認すると上下の向きはバラバラに組まれていました。正しくは密巻側をヘッド側にして組み込みます。

 

リフターホールには縦キズが結構あり、摩耗による内径の拡大が懸念されます。既存のリフターはインナーシム用に交換されていましたが、上下の摩耗が進んでいるようなのでリフターは新品交換します。

 

合わせてカムメタルも新品交換します。

  

新品のインナーシム用リフターをセットします。このあとヘッド単体でバルブクリアランスを調整します。