Z1R1 H.Y様 クラッチの固着

  

クラッチが固着して走れないとのことで、車両を引き上げてきました。トランポの天井が低いので、Z1Rなどのフロントカウル付きは積む時にミラーとともにカウルも取り外します。

 

ハンドルがグラグラするので点検します。

 

原因はハンドルポストのボルトが緩んでいたためでした。ステム裏側からのボルトを左右とも締め付けてガタは無くなりました。

 

左右にハンドルを切ったところ、ハンドルストッパーに当たる感触がかっちりしていません。よく見るとステム側のハンドルストッパーもグラグラに緩んでいます。

 

これも締め付けて直りました。このように、カスタムしてある部分の緩みは、純正の部分のように信頼性が確立していないので、よく点検する必要があるのでご注意ください。

 

メーターカバーの裏側のボルトも左右ともに付いていません。

 

こちらもしっかり止めておきます。

 

ジャッキアップすると前後サスからガタが。

 

スイングアームピボットはスラスト方向に0.5ミリほどガタがあります。中のスリーブの方が長いのでしょうか。

 

動画で見るとこんな感じです。

 

ステムベアリング辺りにもガタがあります。フォークを前後に揺するとステムからカタカタ振動が出ます。その動画がこちら。ほんのわずかなので動画では解り難いかも。

 

本題のクラッチ固着の修理です。1週間ほど止めておくだけで固着しがちだそうで、今回はどうやっても外れなかったそうです。

 

クラッチカバーを外します。クラッチ一式はJ系純正品に交換されているとのこと。

 

スプリングもJ系純正のようで、白いペイントがあります。

 

プッシャーはワンオフで製作されたもののようです。

 

プッシャーの先端はかなり摩耗しています。因みにJ系純正は双方の部品が熱処理されて硬くされているので、通常は特に摩耗しません。そもそも油圧クラッチなので遊びは自動調整であり、これは固着とは関係ないようです。

 

クラッチ板を取り出します。見事に全部張り付いています。

 

プラハンで軽く叩くと分離できました。フリクションプレート、クラッチプレート、共にJ系純正のようです。

 

組み方は裏表、回転方向、共にバラバラでした。 スチールのクラッチプレートは、表面がサビてフリクションプレートの痕が付いています。

 

ハブとハウジングは摩耗も無くいい状態です。

 

特に破損や構造上の異常はないようなので、プレートの向きを揃えて組み直します。

  

エンジン始動チャックし、現在は問題無くクラッチが切れます。

 

チェック走行に向かいます。

 

半クラなど、クラッチ周りに異常は見られません。ついでに車体周りのガタの影響を確認しますが、街乗り程度では特に違和感もありません。

 

シートはかなりガタつくので気になります。

 

外してみるとダンパーラバーが付いていませんでした。今でも純正新品が買えるので付けておきます。

 

キャブは別のFCRに交換するので外します。こちらはヤフオクに出品するので、お探しの方はいかがでしょうか。

ヤフオクはこちら

 

J系純正のバンドが使われていますが、レーシングキャブ片持ちの場合は強度不足なので強く締めるとこのように変形します。ここはホースバンドを使った方がいいでしょう。

 

インシュレーターも深いクラックがあるので交換します。