スペアエンジン製作 腰下の組み立て

  

ミッションとクラッチを分解点検し、ベアリングを交換します。

 

先ずはインプット側を分解。このエンジンは入手時に実際に車載して問題無く走ることを確認していたものです。その際、ミッション、クラッチも特に異常はありませんでした。

 

クラッチハウジングを点検します。

 

フリクションプレートが当たる部分に段付き摩耗ができています。この程度なら特に問題は出ませんが、これより更に段付きが酷くなると、クラッチをつなぐときの半クラのフィーリングが悪くなり、唐突につながるようになったり、最大トルク付近でのクラッチ滑りの原因になっていきます。

 

ハブ側も同様に段付き摩耗ができています。せっかくなのでクラッチハウジングとハブは交換することにします。

 

ギヤも詳細に確認します。

 

主に傷むのはドグの角の所からです。

  

このように角が摩耗して丸みを帯びてきます。もっとひどくなるとギヤ抜けの原因となりますが、通常このレベル起きるギヤ抜けの原因はシフトドラムの摩耗の影響が大きいので、ドラムを新品交換すれば多くの場合改善します。ということで、今回もドラムは新品にしています。

 

クラッチハウジングとハブはまだ新品が買えるので、余裕があれば新品交換をお勧めします。今回はストックの中から程度のいいもの探します。

 

選んだものはこちら。

 

中古なのに段付き摩耗がほとんど見られません。よく見ると研磨して修正したもののようです。間隔が0.3ミリほど広がっていました。

 

裏側のダンパースプリングも確認します。スプリングがガタつくものがあれば避けた方がいいでしょう。クラッチをつなぐ際にショックが大きかったり異音がしたりします。

 

セットのハブも研磨して修正してあるようです。今回は試しにこの修正物を使用してみます。

 

新しいベアリングを使いアッセンブリーします。

 

インプットシャフトをケースにセットします。

 

続いてアウトプットシャフト側を分解点検します。

 

ドグやそれに対する溝も、摩耗が少なく良好です。

 

ベアリングとカラーのみ新品交換してアセンブリーします。

  

3軸が準備できました。

 

ケースボルトが散逸していたので、ストックのボルトから合うものを選びます。

 

ケースを仮組し、ボルトの長さを確認します。

 

パーツリストにはボルトの長さの記載もあるので参考になります。

 

ボルトが揃ったので組み立てます。先ずは合わせ面をシンナーなどで十分脱脂します。

 

脱脂後、塗りやすいアッパーケースの方に液体ガスケットを塗ります。

 

塗る量は少し透けるほど薄く塗ります。

  

これくらいで十分です。塗り過ぎてはみ出すと、内側に脱落した物はオイルストレーナーを詰まらせる原因となるので塗り過ぎは禁物です。

 

塗り終えるとこんな感じです。遠目に見ると塗っていないように見えるほど。

 

この2ヶ所の丸いところは塗りません。分解したときにここに液体ガスケットが付いていたら、どこかで分解歴がある証拠と言えます。

 

ケースを合わせ、太いボルトから先に締め付けます。

 

ベアリングキャップになる部分は、トルク管理が必須です。

 

ケースにあるこの番号は、クランク周りの太いボルトの締め付け順序を表します。この辺も正確に守りましょう。

 

全部のボルトを締めるとこんな感じです。液体ガスケットのはみ出しはこのぐらいが適正です。内側もこの位のはみ出しなので、有害な液体ガスケットの脱落とはなりません。

 

ケースを合体したらクランクがスムーズに回るか確認します。

 

ギヤチェンジできるかも確認します。通常はインターロックが掛かって2速以上には入らないので、1速とニュートラルが確認できれば十分です。

 

オイルポンプを取り付けます。

 

オイルパンとフィルターなどを取り付けます。

  

テーブルを下げ、エンジン台の上にエンジンを正立させます。

 

ジェネレーター周りも取り付けます。

 

ピストンとシリンダーは、以前レースで使っていて仕様変更で外してあったワイセコのφ73ミリセットを使います。シリンダーは1000ccのノーマルスリーブベースなのでとても薄いです。

 

ピストンをクランクにセットします。

 

シリンダーを挿入します。

 

腰下とシリンダーまで組み上がりました。