デモ車Z1100B2 ヘッドの加工とクランクケースの準備

  

カムとピストンは、ストックしてあったこちらを使うことにします。

 

カムはWEBのグラインドNo.110の中古品です。リフトはエキゾースト、インテークともに約10ミリなので、ヨシムラでいえばST-2クラスのハイカムです。

 

ピストンはワイセコで、ラインナップ中でも特殊なハイコンプ仕様のφ74ミリです。

 

1100シリンダーならノーマルスリーブでボアアップ可能で、排気量は1135ccとなりなす。

 

もとのシリンダーとピストンはまだ十分使えるので残しておき、別の1100シリンダーを使ってボーリングします。

 

状態の良さそうなヘッドを分解点検します。ガイドのガタも少なく、バルブもそのまま使えそうです。

 

リフターはインナーシム用に交換します。もとのアウターシムは、いい物だけを選別してストックへ。

 

バルブスプリングは強化するので交換します。

 

ヘッドはカーボンを落として洗浄し、更に精密に点検します。

 

ヘッドは特に問題無いので継続使用することに。先ほどのハイカムを載せ、干渉するところを確認します。

 

このヘッドはカムの逃げが無いタイプなのでハイカムと干渉します。でも少しだけ削れば大丈夫。

 

少し多めに削って逃げはこの位です。

 

カムホルダーネジはトルクがしっかりかかりましたが、今後の使用を考えて16ヵ所全てヘリサート加工します。先ずは下穴加工から。

 

続いてヘリサートタップを立てます。

 

続いてヘリサートの挿入です。実際に入れるのは一番下の1個だけで、上のコイルとカラーは挿入時の押し込み用です。挿入するときはコイルを押し、決してハンドルで押し込まないように、回すだけにするのがコツです。

 

バルブはボール盤にくわえて回し、サンドペーパーでカーボンを落とします。

 

バルブのカーボン落とし完了です。

 

出っ張りのあるアメリカ仕様ヘッドカバーでしたがそれはやめて、ストックのヨーロッパ仕様に変更します。

 

オイルパンも変更します。右のノーマルから左のZ1000J用へ。オイルレベルセンサーが無くなりシンプルになります。ドレンボルトも太いので、オイル交換もスピーディーに。

 

内側はこんな感じ。

 

クラックがあったもとのクランクケースはやめにして、ストックのこちらのケースに交換します。

 

こちらはクラックも無く、全体的に状態のいいものです。

 

塗装もほぼオリジナルのままです。

 

長期保管品なので、硬いガスケットを慎重に剥がしてきれいにしていきます。古くて固着したガスケットを剥がすには、こちらのセラミックブレードのスクレッパーがお勧め。

 

シリンダーのスタッドボルトは、中央二本が錆びているので交換します。

 

ダブルナットを使ってスタッドを抜き取ります。

 

カバーのネジ穴内部には液体ガスケットが詰まっていたので、タップを底まで通してガスケットを取り除きます。

 

クランクケースの洗浄と点検が終了しました。

 

新しいスタッドボルトを取り付けます。

 

カムチェーンは新品交換し、点検済のもとのクランクを組み込みます。