交換用に入手したエンジンを分解点検します。
型式はMk2と同じKZT00AEの角ヘッドのエンジンですが、シリアル番号は10万番台なのでどうやら1980年KZ1000-C3ポリスに載っていたエンジンのようです。全体がシルバーで、ヘッドカバーサイドなどがポリッシュ仕上げなのもポリスらしい部分ですね。
ヘッドカバーを外します。カバーは既に開けられた形跡がありますが内部きれいな状態です。カムはノーマルですね。
カムホルダーのトルクをチェックします。一部は緩い感じなので、全部ヘリサート加工しておいた方がいいでしょう。
カムを外します。カムメタルやシムもきれいですね。キズや破損ヶ所も無いようです。
ヘッドを外します。ヘッドガスケットの固着がかなり激しかったです。
ヘッドはフィン欠けも無く、プラグホールも修理痕がありません。
燃焼室はこんな感じ。特に破損は無いようです。
ボアは70ミリでノーマルです。
カムチェーンのガイドローラーも、ゴムの剥離など無く痛みは少ないです。
テンショナー側はこんな感じ。ゴムローラーはさすがに少し摩耗しています。
シリンダーを外します。
シリンダーベースのローラーはこんな感じ。通常はあまり摩耗しないのですが、このエンジンは少し摩耗が多めです。
ピストンは純正STDボアです。酷いスカッフなどは無く、まだ十分走行可能なレベルです。
ピストン裏側の焼けも少なめです。
破損ヶ所と言えば今のところスターターモーターボルトが2本とも折れ込んでいます。どのボルトも固着が強かったので、モーターを外す際に折れたのでしょう。奥まったところなので取り出すのはなかなか難しいものです。分解を進める前に直してみます。
ボルトのセンターにドリルで穴を開けて貫通させます。
ドリルをだんだん太くして残ったボルトを全部削り出します。元のネジ山も少し傷が入ったので、ヘリサートを入れることにしました。6ミリのボルトで揉んで、ヘリサートタップを立てます。
2.5Dの長いヘリサートを入れて修理完了です。
エンジンを反転させ、裏側から分解を進めます。
オイルパン内はこんな感じ。外した形跡がありますが、特に異物は無いようです。
クランクケースを分解します。全体的に奇麗ですね。
ギヤのドグも摩耗が少なく良好です。ポリスの場合、実際に警察で使われていた車両相当走行距離が延びるものですが、初めからマニアが取得した車両は距離が伸びないので程度がいいようで、このエンジンは後者かもしれません。
ベアリングを外した後のハウジング部分も、叩かれた跡が無くきれいです。
クランクを点検します。振れは0.08ミリで限度値内、通常よくあるレベルです。
点検棒をコンロッド小端部に通します。4本目が通らないので芯ズレがそこそこありますね。Z系エンジンとしてはズレが多めですが、同様の組み立てクランクであるJ系エンジンだとこのくらいのズレは普通です。実用上も振動が別段多いわけではなく、問題無く走れるレベルです。
ロアークランクケースのウィークポイントを点検します。クランクメインジャーナルのノックピン周りのクラックの有無です。
左から2番目はスラスト抑えになっているので、激しく転倒してカバーが割れクランクが押されるとピンのところにクラックが入ります。このエンジンは大丈夫ですね。
ガスケットはかなり固着しています。剥がしやすいようにシリンダースタッドも外します。スタッドの頂点は中心に窪みがありますね。生産だと窪みが付かないのですが、挿入工具の種類によっては窪みが付くタイプもあるので、スタッドは脱着されたことがあるようで、エンジンは数十年前に分解歴があるようです。
固着したスタッドを外しやすいようナットを溶接します。
スタッドを折らないよう当て木をしてレンチで回します。
無事にスタッドが外れました。
ケース上面の固着したガスケットはこんな感じです。元のエンジンはこんな状態のガスケットをサンダーで剥がしたようで、前面にキズが入っていましたね。
端の方を少し剥がしてみます。
面はきれいです。ヘッドはまだ分解点検していませんが、概ねこのエンジンは当たりのようです。