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Z1000Mk2 A.K様 エンジンオーバーホール開始 カムチェーンローラー異常摩耗

  

エンジンオーバーホールとワークススイングアーム、ワークスバックステップなどのカスタムのご依頼です。受注は昨年の8月でしたので、約10か月かかっての入庫となりました。因みに現在の作業予約の待ち時間は概ね約1年となっております。長くお待ちいただいて申し訳ありませんが、鋭意作業は進めておりますのでご了承ください。

  

事前に試乗したところ、エンジンは異音も無くスムーズでしたが、低速では自然に蛇行するので非常に気を遣うハンドリングです。おそらくセルフステアが弱いためと思われます。案の定、フロントアップしてステアリングを左右に振ると動きは非常に渋く、通常はセンターから左右にわずかに振ると自重でハンドルは切れていくものですが、この状態でも切れずに保ってしまいます。ステムベアリングのプリロードが過大のようです。今回ステムはザッパーステムに交換する予定なので、その際に点検します。

 

外装を外します。内部は非常に奇麗に保たれています。

 

キャブを外します。今回キャブはFCRに変更します。

 

マフラーを外します。マフラーも今回はメガホンタイプに変更します。

 

オイルクーラーホースを外します。ネジにシールテープが巻かれていますね。極端に傷があるときの補修目的を除き、オイルフィッティングにシールテープを使うのは間違いです。予期せずオイルラインに異物が混入することに繋がるのでシールテープを使うのは止めましょう。

 

ホースが外れました。ジョイント4ヶ所ともシールテープが付いていました。こういうことがあると、よくわからない方がメンテしたと判断しています。組み立て方に問題が無いか、いつも以上に充分注意して分解します。

 

ヘッドカバーの締め付けトルクを確認します。一応大丈夫のようです。

 

ヘッドカバーを外します。カバー裏側への打痕は無いようです。

 

プラグを外します。かなり緩いので締め付けトルク不足だったようです。

 

プラグの締め付けトルクを確認します。4本全てトルク不足で、2本は90°以上締まりました。緩いと振動で緩み、ネジを痛めることになるのでトルク管理が必須です。

 

プラグを抜いた状態で、レンチでクランキングします。異常に回転が重いので内部に問題があるようです。

 

トップアイドラーはガタが大きいのでゴムダンパーと軸が剥離しているようです。

 

カムホルダーの締め付けトルクを確認します。トルク抜けは有りませんが、半数以上で60~90°ほど増し締めできてしまうので、ヘッド側の雌ネジは相当傷んでいるようです。全数ヘリサートを入れた方が良さそうです。

 

バルブクリアランスを計測します。ノーマルカムですがかなり広めに設定されています。通常は経年で狭くなる方向なので、何か意図した設定なのでしょうか。

  

テンショナーを外します。パムス製のオートテンショナーですね。

 

プッシュロッド先端のゴムはかなり潰れています。

  

カムを外します。カム軸の焼き付きなどは無いようです。

  

カムが外れた状態でクランキングしてみます。通常レベルに軽くなったので、回転が重かった原因はカムチェーン周りにあるようです。

 

ヘッドを外します。ヘッドナットのワッシャーは、外側4ヶ所のみがオイル通路なので銅ワッシャが必要です。こちらは全箇所銅ワッシャーが付いていました。余分なコストです。

 

燃焼室はこんな感じ。バルブとピストンの干渉などは無いようです。カーボンも少ないので燃調は正しくセットされていたようです。

  

シリンダー側はこんな感じ。車両入手時に純正0.5ミリオーバーサイズピストンに換装済みとのことで、ボアは70.5mmです。

 

カムチェーンのガイドローラーを外します。

  

純正品のようですが、ラバーダンパーと軸が剥離して分離しています。

 

テンショナー側のローラーも外します。

  

ゴムのガイドローラーは原形をとどめないほど摩耗しています。この状態でも外部から異音としては認識できないことが多いです。クランキングが重かった原因はカムチェーンの抵抗が大きかったようです。Z系エンジンはこのようにガイドローラーが異常摩耗していることが結構あります。交換後1万キロ以内でこうなる場合もありますが、数万キロ走った車両で異常がないことも多数あります。乗り方、常用回転数、温度管理などで差が出ると考えています。

 

シリンダーを外します。

 

ピストンはKL250とあるので純正ですね。トップには0.5の刻印があるはずです。側面のスカッフはやや多めです。

  

シリンダーを点検します。こちらも4気筒共スカッフが多いです。初期のクリアランスが狭すぎたか、オーバーヒート気味で走ることが多かったか、距離の割には傷が多いです。

 

シリンダー下のガイドローラーも摩耗が多いです。

 

通常ここはほとんど無傷なので、前回の腰上分解時に新品交換していないのでしょうか。

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