ヘッド、シリンダー、クランクケースと、主要な部品が交換することとなったエンジンの再生を進めます。
ドナーのシリンダーヘッドはエキゾーストスタッドのボスが2ヵ所壊れているので先ずは修理します。他にもバルブガイド交換、バルブシートカット、面研を行う予定。
シリンダーは未加工品を用意したので、当初の計画通りφ74ミリにボアアップします。ピストンは最近弊社で定番となっているピスタルを使用します。
この深く掘り込まれた姿を見ると、毎回出来上がりが楽しみでワクワクしますね。ヘッドとシリンダーは井上ボーリングさんに送り、先に内燃機加工を進めます。
クランクケースは今回タイムリーにヤフオクでゲットした物。なかなか状態がいいのでラッキーでした。
古いシリンダースタッドは交換するので外します。固着がツ用、外すのが非常に大変なのですが、再使用しない場合はナットを溶接して回せば、比較的楽に緩められます。
固着したスタッドを回すには大きなトルクが必要です。不用意にやると根元で折れることもあるので、回転方向にのみ力がかかるように、先の方を支えながらレンチを回すとうまくいきます。
無事に全てのスタッドが抜けました。先ずは第一関門突破という感じ。
続いてはガスケット剥がし。これもかなり固着しているのでかなりハードな作業になります。かかる時間は数時間に及ぶこともしばしば。道具は主にこの3本のスクレッパーです。
よく研いだ刃の有るスクレッパーで大方はぎ取った後、残った強力に固着した最後の部分はセラミックのスクレッパーを使って剥がします。やり方はこんな感じで1~2ミリづつ進めていきます。
デッキ面のガスケット剥がしが終わりました。今回はこの面だけでも1時間ほどかかりました。これがスタッドがある状態で行った場合、やりずらいのでこの2倍の時間はかかるでしょう。
ほとんどキズを付けずに剥がせたので第二関門突破という感じ。ガスケットを剥がした後は、オイルストーンをかけて仕上げます。
アッパーケースの準備が整いました。
続いてロアーケース。先ずはシフト関係の部品を全て外します。
シフトドラムは摩耗が少ないので、丁寧に乗られていたエンジンと解ります。
ドラムの良否を判断するポイントはこちら。この山の頂点が平らな形状になっているところが全部で3ヶ所ありますが、ここが各ギヤに入れた時にシフトフォークのピンが保持される部分で、そのギヤポジションをキープする要の部分です。新品はエッジがありますが、これの両肩の摩耗が酷く進み丸くなっていくと、平面部分が狭くなりギヤ抜けし易くなります。ほとんどの使用過程のドラムは程度の差はあるもののここは多少丸くなっています。中古のドラムを使う場合は要チェック。因みにドラムはエンジン車載のままでも交換可能です。
クランクケースロアーのガスケットを剥がします。オイルパンガスケットも固着が激しい部分です。
トータル3時間ほどかかってクランクケースの下準備が終わりました。この後、ヘッドなどの内燃機加工が終わり次第、カバー類も合わせて塗装の工程に進みます。