元のヘッドはリフターホールの摩耗が多いなどの理由で交換することにしました。そこでヤフオクなどを探しましたが今は良さそうなヘッドが見つかりません。ストックしている部品から使えそうなヘッドを探すことに。先ず、使えそうなエンジン丸ごとが3基あります。
そして使えそうなヘッド単体が2基あります。ちなみに上段にあるシルバーのヘッドはカムホルダーが無いので候補から外します。
先ずは1基目を分解点検します。クランクケースはJE、アウトプットシャフトは前期なので、Z1000J1系のエンジンです。
カムホルダーのトルクをチェックします。4本ほどトルク抜けしていますね。
カムを外して更に点検します。
ヘッドカバーのネジがヘリサートで修理されていますが抜けてきています。
カムプラグのところも2ヵ所ヘリサートで修理されていますが、ここはクラックが入っています。ここは修理し難いのでとりあえずこのエンジンはボツとします。
2基目はZ1100B2のエンジンです。なぜかヘッドはエンジン温センサーボスが無いのでZ1000R系と解ります。
ハムホルダーネジのトルクをチェックします。こちらも3カ所ほどトルク抜けしています。J系エンジンは今まで100基ほどは見てきた中で、ほとんどの個体でトルク抜けが数本見られるのが普通な感じです。
カムホルダーネジの内、1本はスタッドになっていました。このあとスタッドを外してみると、ヘッド側のネジがM8になった特殊なスタッドが使われていました。
ヘッドを外して分解点検します。ポートは軽く研磨されていますね。
バルブガイドの内1ヶ所は磁石が付かないのでカッパー系材料のガイドに交換されているようです。バルブスプリングも上下逆さまに入っている個所がランダムにありました。
燃焼室側はこんな感じ。
バルブシートの当たりが異常に狭いところが多く、かつ全周で幅が一定ではありません。バルブシートの奥側も削られているので、シート交換もされているようで、ステムエンドのカットも大きく、シートカットはこれ以上できない状態です。これも修理がかなり必要なのでとりあえずボツとします。
続いて3基目はポリスのエンジンです。シリアル番号から1984年製と解っています。
当初からヘッドの前側が欠けているのはわかっていました。これを修理するのも結構厄介です。
カムホルダーを外します。ボルトは既に2本折れ込んでおり、外す際に更に4本ほど折れてしまいました。折れ込んだボルトの修理を失敗した痕もあり、このヘッドも相当手間がかかるのでボツにします。
4基目はヘッド単体で入手していたものです。5年前に私が詳細にチェックした結果を書いた紙が挟んであります。それによるとカムホルダーネジは多くが要修理ですが、それ以外は結構まともです。
但しエキゾーストスタッドのボスが2ヵ所割れています。このボスさえ修理すればいいドナーになりそうです。
修理方法は一旦ボス部分を全部削りとり、溶接でもって新たに形成することになると思います。
他にもヘッドデッキ面に大きなキズがありますが、これは溶接で盛ってから面研すれば修理可能です。