エンジン分解の続きです。次は腰下の分解から。
左右のカバー類を外します。
ジェネレーターローターを外します。ダンパーのリップが波打つように変形していますね。これは初めて見ました。
クランクのテーパーはきれいです。
マウントダンパーは硬化して痩せていたので簡単に外れます。
エンジンを反転します。
オイルパンを外します。B2のオイルパンは内側も黒く塗装されているので、一見すると汚く見えますが、多少のスラッジはあるものの、異物は少なく年式の割にはきれいです。
クランクケースを分離します。
ミッションは、ドグの摩耗も少なく良好なようです。
クランクを外して計測します。振れは0.02ミリと上等です。各ベアリングもスムーズです。
コンロッド小端部に点検棒を差し込みます。最後のところでぶつかって貫通はしません。
ズレは1ミリ弱といったところ。ほとんど点検棒が通ることが無いJ系エンジンとしては、この程度のズレは普通ですね。
気になるアッパーケースの要注意ヶ所を点検します。クランクのメインジャーナルで、画像左から2番目のノックピン穴がその場所です。ここはメインジャーナルのベアリングアウターレースがスラスト方向に動かないところで、クランクの左右の動きを押さえている場所です。通常分解時にノックピンは抜けてこないのですが、このエンジンの場合はケースを開けたら簡単に抜けてしまいました。緩くなっているようです。
穴周辺のオイルを拭き取りよく見ると、穴はやや右上に広がり、その部分にクラックがあります。
この画像では分かりずらいのでカラーチェックします。
洗浄後、赤い浸透液を塗布し、10分ほど放置します。この間、クラックがあればこの赤い染料が沁み込んでいきます。
次に洗浄剤で表面にある先ほどの赤い浸透液を落とします。
最後に現像液を塗布します。
塗布直後は半透明の白い液体です。
しばらくすると完走し、マットなホワイトに変化します。クラックがあれば赤い浸透液が表面に出てきます。角の部分に上下5ミリほどクラックがありますね。
このクラックの原因ですが、おそらく過去に左側に激しく転倒した際、ジェネレーターカバーが割れてクランクに車重が大きくかかり、ノックピンが押されて穴の周囲が割れたものと思われます。これは比較的多くの車両に見られます。溶接修理して元の真円を出すのは困難なので、通常はケース交換としていますが、いいドナーが見つかるでしょうか。