作業の続きです。
オイルクーラーの取出しパイプを取り付けます。使用するOリングはφ18ミリが2個、φ9ミリが1個です。J系初期のモデルには、小さい方のOリングが無いクランクケースもあります。小さい方のOリングは、ネジ穴がメインギャラリーと通じており、ボルト穴に油圧がかかるため必要になります。
Oリングをセットします。
オイルパイプ側の合わせ面にキズなど無いか確認します。
オイルパイプを取り付けます。奥側のボルトには、シール用にアルミワッシャータイプのガスケットが入ります。
取り付けるとこんな感じ。
オイルホースを取り付けます。キャブホルダー部にあるホースガイドは折り曲げエッジが後ろを向くように取り付けます。
ホースはヘッドカバー上を通ってオイルクーラーコアへ。
各ホースジョイント部は、Oリングでシールされます。
北米仕様のヘッドカバー左右にある突起をホースで繋げます。この突起は「2次空気導入装置」の一部で、ブローバイ関連の装置ではありません。2次空気導入装置は、エアクリーナーBOXから吸気した空気を制御バルブを介してエキゾーストポートに導き、エキパイ内に排出された未燃焼ガスをエキパイ内で燃焼させるという排気ガス浄化装置のひとつです。このように左右をホースで繋ぐことで導入ホースとバルブを外して無効化することができます。ちなみにこの突起の内部にはリードバルブがあり、エアクリBOXからエキゾーストポートへ流れをワンウェイにしています。リードバルブを外してブラインドプレートに置き換えても大丈夫です。
今回、キャブとエアクリBOX間のダクトが硬化していたので新品交換します。このダクトが硬化していると、キャブの脱着が困難になったり、2次エアを吸ったりするので、ノーマルキャブ車の方は部品がある内に新品ダクトのストックをお勧めします。
下が新しいダクトです。
キャブを取り付けます。
エンジンオイルとフィルターを交換します。
ドレンボルトとフィルターボルトは、トルクレンチでトルク管理します。生涯で数十回と脱着するので、雌ネジを傷めないようにします。
エンジンを始動チェックしますが、なかなか始動できません。
事前に始動性が悪いのを確認していたので、ダクトの隙間からガソリンを注入して始動させます。キャブのダイヤフラムを新品交換すると始動性が良くなる場合が多いのですが、既に新品をお持ちとのことで、早急に交換するといいですね。
クラッチレリーズの遊びも調整します。
続いてフロントマスターのピストンを交換します。現状はレバーの握り代が異常に多く、強く握るとハンドルに当たるほどでした。
ピストンを取り出します。
シリンダー内はきれいなようです。
今回新品交換する部品はこちら。ピストンはカワサキのサイトで「在庫僅少」となっています。無くなる前にスペアを確保しておくことをお勧めします。
外したピストン(下)と新品(上)を比較します。外した方はカップがやや潰れた感じになっています。
新しいピストンを組み付けます。
ブレーキフルードのエア抜きをします。
ピストン交換後、レバーの握り代は少し回復しました。ローターは摩耗によりレコード盤状になっているので、ローターも新品交換するとよりレバータッチが良くなると思います。Z1000R系のφ280ローターはサンスターに純正互換品があるので交換をお勧めします。なおZ1000J系のローター径はφ270ミリと異なるのでご注意を。
サンスターZ1000R φ280ミリローターはこちら
残る作業はミッションカバー周りからのオイル漏れ修理です。