テールカウルは後ろのダンパーが付いていなくて、カウルの裏側と後端ブラケットの上面を両面テープで付けてありました。純正のダンパーに戻します。このダンパーはもう販売終了しており、状態のいいものをストックから選んで使います。
ダンパーを取り付けるとこんな感じ。ダンパー部分はカウル内側後端にしっかりとはまって支えてくれます。
テールカウルをしっかりとダンパーに差し込みます。するとカウルは3センチほど前に来てしまいます。
原因はテールレンズブラケットの改造でした。テールレンズを引っ込めるために加工したようで、ブラケットの前端がボルト穴1個分切断されています。
それを正規の位置に戻します。本来は4本止めの場所ですが、勘合する形状なので2本止めでも垂れ下がることはないので大丈夫でしょう。ダンパーの位置も正規の位置になりました。
テールカウルを取り付けます。テールレンズの出具合はやはり正規の位置がバランス良いと思います。
カウル前側の取り付け点はクラックが入りやすいですが、こちらは両方とも割れて分離していました。シートを付けるとカウルは両側から押さえられるので外れることはありませんが、機会があればカウルを交換したいところですね。純正の良品は希少ですが、質のいいFRP製が市場にあるのでそれでもいいと思います。
サイドカバーもいくつか爪が折れてなくなっており、左側はバッテリーケースが純正でないので止め点が1個ありません。もともとタイラップ併用で付けられていましたが、カスタム車の場合止め方はワークスレーサーを真似るといいともいます。
止め方はこんな感じ。下側の前後に穴を開けタイラップで止めています。
”ワークス止め”するとこんな感じ。
続いてメーター内のインジケーター付きっぱなし問題の対策です。この車両はZ1100-B2なので、角メーター内に液晶のインジケーターが付いています。右のバー表示は燃料計、左の赤いマークは上から サイドスタンド戻し忘れ警告 オイルレベル警告 バッテリー液面警告 です。この場合はサイドスタンドとバッテリー警告が点滅し、ワーニング白枠上にある赤いLEDも眩しく点滅します。Z1000-R2メインハーネスに交換したことでこのワーニング機構が機能せずに点いてしまいます。これでは煩わしいので修正します。
オイルレベル警告灯はインジェクション車であるB2やGPZ1100のみにある装備で、代わりにオイルプレッシャースイッチは付いていないのが純正です。この車両は社外のオイルクーラー取出しにオイルプレッシャースイッチが付いていたのでそこに配線しましたが、回路図をよく確認すると動作の極性が逆なので、これに繋ぐと逆の動作になってしまいますね。
オイルレベルセンサーはオイルパンに下から付いており、下から配線が1本出ています。これに油圧警告灯のラインを繋ぐのがいいでしょう。そうするとオイルレベルが極端に下がった時に警告灯が点滅します。
スプロケカバーを開けた時にいつも確認するのがダウエルピンの存在です。4本止めの下側2ヵ所に入れてあり、カバーの位置出しとシフト操作による前後移動のズレ防止の役目があります。この車両はリヤ側のピンが欠品していたので入れておきます。
既にカバーの前後ズレで穴の口元が摩耗しており、内径を修正してからピンを入れました。
スプロケカバーを付けたらクラッチレリーズの遊びも調整しておきます。ここはクラッチ板の消耗などによってクリアランスが狭くなり、そのまま乗り続けるとクラッチ滑りの原因となります。そのため定期的に調整が必要な部分ですが、多くの車両はクリアランスゼロになっていることが多いので要注意。
クラッチケーブルはハンドルを切ると上下に若干動きます。その動きを邪魔しないように、ケーブル中間はタイラップなどで固縛せず、ケーブルの上下動を阻害しない純正のクランプを使う方がいいでしょう。
クランプ位置は、ケーブルがエキパイに接触しないよう、位置を調整して取り付けます。
さて、残りふたつのワーニング、サイドスタンド戻し忘れの警告灯とバッテリー液面低下の警告灯ですが、共にこの車両ではセンサーやスイッチが省略されているので機能しません。そこで警告灯を消すために、メーターから出ているこの2本の線、ピンクと緑/白線にイグニッションONで12Vになる線を繋ぎます。このワーニングユニットから伸びるハーネスは本来6極のカプラーになっていますが、因みにこの車両の場合はZ1000-R2メインハーネスに換装しているので、メインハーネス側に合わせて4極カプラーに変更してあります。
話は前後しますが、フューエルセンサーの線はセンサー部分で切られて端子化されていたので、メインハーネスまでの延長ハーネスを作って繋ぎます。
ウインカーリレーはハイレスポンスタイプを使用します。ウインカースイッチを入れた瞬間に先ず点灯するタイプです。スズキ純正部品で部品番号は 38610-06F01、現在の値段は少々お高めの税込み2,970円ですが、使ってみるとストレスフリーなのでマストアイテムとなりますね。
全ての配線が終わって動作確認すると、ウインカー4個のうち2個が点灯しません。アース線が露出配線でウインカー本体から引き出されていたのおり、根元のナット部分から取り出すように変更しておいたのですが、ステーへのアース不良が原因と判明。ステーのセレーションの表面処理を削ってアースを良くします。
これで配線関係のリフレッシュは全て完了です。仕上がりはこんな感じです。スリム化したネック周りはこちら。
エンジン上はこんな感じ。
バッテリー周辺はこちら。既存の追加デバイス、ヘッドライトリレー、USB電源、ETC車載器も付いています。それ以外のデバイスは特に必要無くなったので撤去しました。
リレーやヒューズはアクセスしやすい場所に設置。
各系統のハーネスは、なるべく交差しないよう平行にレイアウトし、回路を目視で追い易くしてあります。今後はZ1000-R2の配線図を元にして、故障探求し易くなったことでしょう。
ヘッドライトは上下光軸調整のステーが無くグラグラしていたので、良さそうな位置でステーで止めておきます。若干の上下調整は、このステーを曲げるなどして合わせて下さい。
続いてフロントブレーキ周りです。アップハンドルだったため長いホースが付いており、コンチハンへの変更に合わせてホースは新たに製作することに。キャリパーもブリーダーの位置などがよろしくないので組み替えます。
元々はこんな感じのレイアウトでした。
元のアップハンドルはこんな感じ。
ちょうど白バイのポジションとよく似ていますね。
変更後の今はこんな感じ。オーソドックスなコンチハンのレイアウトです。マスターはAPが付いていますが、あとでこれの取り付け問題があったことも発覚します。
既存のホースはもう使いませんが、マスター側バンジョーのANネジ部にオレンジ色のものが付いていたので分解してみます。おそらくベンガラ色の液体ガスケットでしょうか。内部までたっぷり塗られていました。他にも不適切な組付けがあるかもしれません。
元々のマスター側の構成です。バンジョーボルトのピッチはメートルの1.25ミリでした。APマスターの場合はインチネジで3/8です。(正確には UNF 3/8-24 ユニファイ ネジ呼び径3/8インチ ピッチ24山/1インチ です。) ピッチ違いのボルトで強引に付いていたため、もう3/8インチのネジは奥まで入らず、このままピッチ1.25で組むのは不安が残ります。マスター側のネジピッチの修正はできそうにないので、残念ながらマスター交換となりました。
キャリパーはブリーザーやホースの接続箇所を変更します。
新しく使う小部品はこちら。
ブリーザーは奥の上側に、ホースは上側接続とします。
キャリパーを仮付けします。元のレイアウトでも大丈夫ですが、APキャリパーを組むならこちらのレイアウトの方がしっくりきますね。
代わりのマスターは急遽注文ました。ホースを先に準備しておきます。
ホースの片側にバンジョーをセット、現車合わせで長さを決めてカットします。
代わりのマスターがまだ無いので、少し長めに途中まで作っておきます。