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Z1000Mk2 S.T様 ステムベアリング交換

プリロードが強すぎてセルフステアが効かないくらい締め込まれていたりと、不審な点が多いステムベアリングは、分解して点検します。

 

フロント周りを外します。

 

ステムを外します。既にテーパーローラーになっていました。

 

アッパーのアウターレースは、座面までしっかり入っておらず、現在0.07ミリのシックネスゲージが半周ほど入ります。

 

マジックの線のところまで入ってしまいます。

 

ステムベアリングは、ローラーケージの奥まではグリスが入っていません。表面だけに塗られている感じです。

 

ダストシールは純正品のもよう。その下のガイドプレートはグニャグニャです。

社外のテーパーローラーベアリングに純正のダストシールは厚すぎてフリクションが強すぎるので、余りお勧めしません。

 

ベアリングは交換することに。内側に引っかかりが無いのでボルトを溶接し、反対側から棒でボルトを叩いて取ります。

 

締め代もかなり緩めです。

 

アッパーのアウターレースが取れました。

 

ハウジングの底には、異物やバリが多数あり、それらが挟まっていました。

 

大きなバリ、というかめくれがあります。

 

隅の方にはプツプツと金属紛が圧着されています。鋸刃の小刀でコリコリ削ってみますがなかなか取れません。

 

オイルストーンでも修正を試みます。

 

いろいろな道具を使って、なんとか低くすることはできました。

 

それでもまだ取れない圧着された鉄粉が隅の方に残っています。

 

ロアーベアリングレースも同様にして取ります。

 

こちらもかなり緩く入っていました。

 

共に新しいようで、交換したばかりのようです。

 

ロアーのハウジングを見ます。前回のレースを抜く際に付けたと思われるキズがかなりあり、内径がかなりえぐられている感じです。ノーマルベアリングを抜く経験の浅い人物の作業結果でしょう。

 

凸部は削り取られているので修正の仕方はOKです。

 

新しいベアリングを準備します。

 

アッパーのアウターレースは、異物を避けるため角の面取りを大きく追加します。

 

アッパーのアルターレースを圧入します。

まだ隙間が残りますが、先ほどよりはだいぶ狭くなりました。

 

ロアーのアウターレースも圧入します。

 

こちらはシックネスゲージが全く入らないので完全に密着したようです。

 

ベアリングにグリスを充填します。手のひらに盛ったグリスをこそげ取るようにして内部に充填します。

 

反対側からグリスがはみ出してくればOKです。これは整備士の学校で習う、整備の一般常識です。

 

ロアーステムのベアリングも外します。

 

ロアーステムに新しいベアリングを圧入します。

 

テーパーローラーの場合、ダストシールはタンクキャップのパッキンを流用します。

 

ステムをフレームに取り付けます。

 

ステムとオイルクーラーブラケットが干渉していたので逃げを作ります。

 

この位削っておけばいいでしょう。

 

反対側も同様に。

 

前から見るとこんな感じです。

 

フロント周りを復元します。

 

復元完了です。

 

ハンドルはバーエンドが下がったポジションでしたが、スーパーバイク乗りにお勧めの水平にチェンジ。

 

この方が操作性も良く、乗ってる姿もカッコいいのです。

 

クラッチマスターのバンジョーボルトがメーターと干渉するので、ゴムホースをはめておきます。

 

スロットルは、タイコの掛かっている位置を確認します。これで大丈夫。

 

インナーケーブルには潤滑の為エンジンオイルを数滴挿しておきます。

 

グリップは長くてスロットルより飛び出しているので、フリクションにならないようシリコングリスをハンドルとの間に塗っておきます。

 

オイルクーラーホースを復元します。

 

負圧コックが付いていたので、キャブホルダーにニップルを追加しておきました。

 

今回からキャブはCR33に変更します。

 

ケーブルブラケットのネジ部は、整備性を良くするために通し穴にしておきます。

 

内部のセッティングも確認し、予め必要な変更を加えておきます。

 

ジェット類も一旦脱着して固着を解除しておき、キャブセッティング中の脱着性を良くしておきます。

 

キャブを取り付けます。

 

油温センサーのハーネスは、ヨシムラ同梱のスパイラルチューブが巻いてありましたが溶けていたので耐熱性のあるガラス編み組チューブに変更します。

 

シリンダー背後からキャブの間を上がっていくレイアウトの場合は必須な作業です。

 

バッテリーケースのマウントボルトが斜めに入っていたところは、よくみるとケースの寸法と車体側のブラケットが合っていないようです。それでボルトが斜めに入っていたようです。ピンポンチで横方向に穴を広げます。

 

これでボルトが真っすぐ入るようになりました。

 

マフラーは、中間パイプを正しく差し込むと全く合わないレイアウトなので改造します。とりあえずサイレンサーまで仮に挿し、エンジン始動チェックだけ先に済ませておきます。

 

中間パイプはかなり強引な加工の痕があります。他車の流用でしょうか。

 

パイプを折れ部分で切断し、角度を変更します。

 

ここで本日の作業は時間切れ。明日はいよいよ完成まで進めそうです。

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