Z1000R1 M.N様 アウトプットシャフトの損傷

ノーマル戻しのご依頼です。

マフラー以外のノーマル部品はコツコツ収集されたものをお持ち込みです。

 

ステップとスイングアームなども交換するのでマフラーを外します。

 

オイルクーラーも外します。

オイルクーラーのステーがメインハーネスに食い込んでいます。

全面のオイル汚れは、後ほど確認したら防錆油とのことです。

 

幸い、外側の被覆の損傷までで済んでいました。

 

ヘッドカバー内も点検する予定です。

 

タンクのマウントラバーは全て劣化しています。

 

チェーンとスプロケは530にサイズダウンするので取り外します。

 

フロントスプロケット周りがオイリーですが、オイルシールからの漏れでしょうか。

それとは別に、ナットのロックワッシャーは曲げられていますがスプロケットがガタつきます。

 

その動画がこちら。

スプロケットを外すとスプラインもかなり摩耗しています。

スプロケットの取り付け部分が薄いので、シャフトのスプラインの突き出しが多く、ナットがスプラインに突き当たっていたようで、スプロケットまで達していませんでした。

 

 

一応、スプロケットの裏側にはスペーサーが入っていますが、この厚さでは足りていません。

 

リヤショックを外します。

左のアッパーマウントは、ネジ山がかなり傷んでいます。

 

右側は、ネジは大丈夫でしたが、ブッシュは既にボロボロです。

 

インナーカラーもフレーム側に固着していたので、削って叩いて外します。

 

S1スイングアームも外します。

 

キャブホルダーは、既存のノーマルキャブとは適合が異なるものが付いていました。

抜け止めの内径の突起が、前後に位置と形状が異なるものです。

 

キャブホルダーを外します。

 

取り付け面の汚れを落とし、オイルストーンでマニホールドの面出しをします。

 

修正後がこちら。

 

イグニッションコイルを外します。

 

片側はクラックが入っているので要交換です。

 

ヘッドカバーを外す前に、エンジン全体と周辺のフレームを洗浄します。

 

防錆油に誇りが溜まっていて、オイル漏れかどうか判別できない状態です。

 

オイルパンもこの通りオイリーです。

 

洗い油とブラシで大まかに汚れを浮かせ、ブレーキクリーナーで脱脂します。

 

1時間ほどかけて洗浄終了です。

 

マフラーもオイリーで、集合部には砂利が溜まっているので洗浄します。

 

洗浄後はこちら。

 

お持ち込みのノーマルスイングアームを点検します。

ベアリングは問題無いので、グリスアップして組み付けます。

 

フレーム内幅がノーマルより約3ミリ拡大されており、ピボットには大きな隙間が空きます。

ピボットシャフトで締め上げることもできますが、

フレームにこれ以上負担を掛けないよう、スペーサーを入れて対処することに。

 

1ミリのスペーサーを左右に1枚ずつ入れて組み付けます。

 

リヤショックアッパーのネジ山が傷んでいる箇所です。

 

ダイスでネジ山を修正します。

 

修正後はこちら。

 

お持ち込みのリヤショックは、純正をオーバーホールしたものとのこと。

スプリングもリペイントされています。

 

そのままリヤショックを付けると、アッパーマウントのフレーム側段付きが飛び出すので、ブッシュのインナーカラーを締め付けできません。

 

そこで、マウントピンの径に合わせた内径のワッシャーを製作します。

 

大きな面取りがある方をフレーム側にして根元の角Rを逃げます。

 

内径はφ14ミリでマウントピンにピッタリです。

 

リヤショックを取り付けます。ブッシュのインナーカラーの方が出ている状態です。

 

内径φ12ミリのワッシャーを挿入します。

 

ネジ無し部を避けるためスペーサーを挿入します。

 

最後にナットで締め付けます。グラブバーを付けるときは、スペーサーを抜くとよいでしょう。

 

ノーマルスイングアームが付きました。

 

リヤスプロケットはサンスター製に交換します。

 

ハブには5ミリほどのスペーサーが付いています。

 

 

固着して外れないので、タガネで叩いて取り外します。

 

鉄製のスペーサーが外れました。

 

ボルトは長い物が付いていたので、短い方のノーマルに戻します。

 

ナットは規定トルクでしっかりと締め付けます。

 

サビついたローターボルトは交換するので、インパクトドライバーで固着を緩めておきます。

 

マフラーを取り付け、ノーマルステップとの干渉を確認します。

 

改造されたKR管は、ノーマルステッププレートの直近を通過するレイアウトです。

 

サイレンサーはひねって外側に向けないと干渉してしまいます。

 

マフラーの加工か交換をお勧めします。

 

アウトプットシャフトのオイルシールを交換します。

 

プーラーでオイルシールを引き抜きます。

 

新しいオイルシールを装着し、スプロケとそのナットを使って締め込み、圧入します。

 

新しいオイルシールが付きました。ここで違和感が。

 

よく見るとシャフトのネジ山がかなり摩耗しています。

 

新品のアウトプットシャフトと比較してみます。

 

スプラインの摩耗も多いですが、それよりネジ山が半分ほど無くなっているのは致命傷です。

以前のスプロケ交換の際に、何か問題があったのでしょうか。

これではナットの締め付け強度が得られません。

ということで、アウトプットシャフトも交換となりました。

 

エンジンを下ろし、クランクケースの下側から分解して修理する予定です。