Z1000J O.H様 S1スイングアームの修正

クラックのようなキズがあるので、補強を切開して点検します。

 

パイプに届かない程度サンダーで切り込みを入れます。

 

タガネで叩いて持ち上げます。

 

切り取ったところから内部が見えてきました。

腐食によりパイプの肉がかなりえぐられています。

赤い色は、クラックを発見する時に使うカラーチェックの浸透液でしょうか。

 

深いところは1ミリほどえぐれています。

 

他にも欠陥がないかどうか、塗装を剥離して点検します。

 

塗装を剥離すると、その下には数十か所のパテ埋めが見られました。

 

一通り剥がしたら水洗いします。

 

大まかに塗装を剥離した状態がこちら。

全体にわたってキズや凹みがパテ埋めで修正されていました。

 

切開したところをよくみてみます。

 

腐食は補強で隠れていたところに集中しています。

 

他にも、茶色く変色しているのは、溶接熱でアルマイトが変色した痕です。

 

こちらにも溶接補修の痕が。

 

腐食のあったところは、取付状態だと補強の中に水が溜まる構造です。

水分で腐食が極端に進行したのかもしれません。

 

サス受けの内側には、溶接で溶けたような痕があります。

 

おそらく、溶接のアースをここからとった際に、スパークして溶けた痕だと思われます。

アルマイトが残っているので導通が悪かったのでしょう。

アルマイトは電気を通しません。

 

切開したところは、溶接盛りして修正します。

先ずは切断面を整えます。

 

溶接で盛ります。

 

研磨します。

 

ドレンボルトの座面の一部はかなり狭くなっています。

リークするといけないので修正します。

 

こちらも溶接で盛ります。

 

平面に研磨します。

 

オイルストーンで面出しします。

 

最後にタップでネジ山を修正します。

 

三角補強は水抜きが無いので、ドリルで水抜き穴を追加します。

 

切開したところはビードを溶接で延長し、滑らかに研磨します。

 

右側のサス受けは内幅が狭いので、20ミリのカラーを圧入して修正します。

 

修正完了です。

 

サス受けの後端には、エキセン締め付けボルトのワイヤリング用の穴を開けておきます。

 

反対側も同様に。

 

これで、スイングアームの修正は完了です。

レースユースにも十分耐えてくれるでしょう。

この後サンドブラストして表面を慣らし、シャンパンゴールドにアルマイトする予定です。